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Safari では、帯グラフの文字(震度、galの表示)ずれを起します。
| この内容は、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以前に執筆したものです。
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■「建築基準法の見直しに関する検討会」座長と関係委員、及び 日本建築学会、日本建築構造技術者協会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の各会長への送付内容(要旨)について NEW!
今回の「耐震基準の重大問題」について、既にご報告しております。 この問題を、国民の視点、建設会社・設計者の視点で、もう一度まとめてみました。
★国民の視点で考えれば、 「国民は、自分の命を守れない状態に置かれている」ことです。 今回の「耐震基準の重大問題」の事実の公表が絶対必要です。
★建設会社・設計者の視点で考えれば、 気になる問題としましては、下記
2.に書いていますが、 下記 1.のことを国民(施主)に説明したとしても、 建設会社・設計者の責任という観点で考えれば、まだ十分ではないと思われます。 なぜなら、 国の「耐震基準」の震度階が、いまだ訂正されておらず、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」となっていますので、 震度6強から震度7程度の地震で倒壊した場合、 建設会社・設計者の責任にされる可能性が十分にあり、紛争になることは目に見えています。 (構造設計者の場合は、建築確認申請時に「構造安全証明書」に押印させられていることもありますので、責任はさらに重大です。) これは、心配なことです。
国民(施主・使用者)の立場に立っても、「耐震基準」の誤った情報のために自分達の命さえ守れない状態にあり、建設会社・設計者の立場に立っても、国の「耐震基準」の震度階の訂正を、一刻も早くしてもらわなければ、ということです。
★さらに、問題なのは、今回の「耐震基準の重大問題」が、いまだ、「建築基準法の見直しに関する検討会」では、取上げられていないことです。 今回の「耐震基準の重大問題」は、「国民の生命と財産」に直結する重大問題です。 「建築基準法の見直しに関する検討会」は、耐震偽装問題から始まっていますが、これは、さらに、大元の問題であり、見過ごすことができない重大問題です。
以下に、国民への説明内容をまとめてみました。 まずは、事実のみの発表だと思います。 国民に事実をまず知ってもらい、国民の論議を待って「耐震基準」の引上げを考えても良いのではないかとも思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.国民への説明内容
「国民は、自分の命を守れない状態に置かれています」
事実の公表が絶対必要です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆国民の視点で考えて、 日本の建物の安全を規定している「耐震基準」が、以下のように大きく違っています。 そのため、現在、国民は、自分の命を守れない状態に置かれています。 事実が公表されていないゆえの大問題です。
国民への説明内容を整理しますと、
◆現行の「耐震基準」の国交省説明は、 「(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10
(国交省) の震度は、1996年改定前の「旧震度階」に基づくもので、それが、現行の改定震度階(「新震度階」)と混同されています。しかも、その旧と新の震度階の差が非常に大きい。
◆「新震度階」に基づけば、例えば、内閣府「地震被害想定支援マニュアル」の説明では、
http://www.bousai.go.jp/manual/v-4.htm 震度6強-7の境界加速度は、1500galとなっています。 それに対して、現行の「耐震基準」の、「倒壊等の被害を生じない」水準の「極めて稀にしか発生しない大規模の地震」の加速度は、300gal〜400gal程度であり、現行の震度階での震度6強-7の境界加速度(1500gal=内閣府)との差が、あまりにも大きく拡がっています。 つまり、「加速度」基準で見ると、「耐震基準」での震度6強-震度7と、現行の震度階での震度6強-7とでは、4倍程度の差がついています。
◆基準法レベルと震度6強との比較 また、全壊との関係の相関性が高い、「速度」基準で見ても、「基準法レベル」と「震度6強-7の地震動」とに、非常に大きな開きが出ています。 以下のように、「基準法レベル」と、本来は「耐震基準」では耐えられるはずの「震度6強-7の地震動」とに3倍程度の差がついています。
南北 東西 東西南北合成 基準法二次設計(5強6弱) 40kine 40kine 56kine※ JMA神戸(6強 (6.3)) 75kine
90kine 105kine JR鷹取 (6強 (6.4)) 121kine 125kine 156kine
※基準法二次設計レベルの40kineは、渡部丹著「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定−確率論から考えても」37-3、145頁、公共建築、1995年、
東西南北合成は40kine×√2としました。
以上のことだけでも、最低限、国民に説明すべきでしょう。
またさらに、 ◆全閣僚が委員の政府の中央防災会議の発表では、「新耐震」の建物でも「震度6弱から全壊が始まる」となっています。
http://www.iau.jp/pdf/m-zenkairitukeisokushindo2.pdf
(このグラフは中央防災会議+気象庁)
◆政府の地震調査委員会の発表では、その「震度6弱」以上の30年以内地震の発生確率が、関東・東海・近畿・四国地方の多くの市区町村で50%を超えています。
http://www.iau.jp/pdf/m-JISHINCHOSAIINKAI01.pdf (政府の地震調査委員会からの資料)
◆実大実験の結果を見ても、 建築基準法通り(またそれ以上の)、木造、鉄骨造、RC造の建物が、実大実験で、震度6強の地震動で倒壊しています。
http://www.iau.jp/m-taishinkijunkaitei.htm#13
(木造、鉄骨造、RC造の倒壊のまとめ) 木造に関しては、 ★2004年に(財)建材試験センターが行った実大実験、現行の建築基準法通り(耐震等級1)の木造住宅が、震度6強の地震動(JMA神戸波
NS818gal、3方向100%加振)で倒壊しました。 http://www.asahi.com/special/051118/TKY200611230297.html
http://www.jtccm.or.jp/library/jtccm/news/kentikugakai/22003.pdf ★昨年2009年10月27日に(独)防災科学技術研究所などが行った実大実験、建築基準法の1.46倍の耐力で耐震等級3に近い木造住宅が、震度6強の地震動で倒壊しました。
http://sumai.nikkei.co.jp/news/latestnews/index.cfm?i=2009102711008p2
(日経新聞) http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/wmv/20091027.wmv
(倒壊映像)
も補足されればと思います。「耐震基準」に関しての国民の論議のためには必要だと思います。
※速度単位、加速度単位につきまして、
速度単位 : kine=cm/秒、100kine=1m/秒 ※加速度単位: gal=cm/秒2、981gal=1G(重力加速度)、400gal≒0.4G、1500gal≒1.5G です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.気になる問題
(建設会社・設計者の視点で) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以上のことを国民(施主)に説明したとしても、
現行の「耐震基準」の 「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10
(国交省) の気象庁震度階は、1996年改訂前の旧震度階に基づくもので、
それを改めて、現行の気象庁震度階に基づけば、 「中規模の地震(震度5弱程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6弱程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」 となるでしょうが、
しかし、いまだ、国の「耐震基準」の震度階が訂正されていませんので、 震度6強で倒壊した場合、 国の「耐震基準」は「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」となっていますので、建設会社・設計者の責任(構造設計者は、建築確認申請時に「構造安全証明書」に押印させられている)にされる可能性があり、紛争になることは目に見えています。
以下、「全壊が始まる地震発生確率の驚異的上昇」に関してです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.補足 全壊が始まる地震発生確率の驚異的上昇 ※この項目のみ全員には送られていません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 次に、建物の全壊が始まる震度6弱以上の地震の30年以内の発生確率が、日本の中枢地帯の関東・東海・近畿地方の400以上の市区町村で50%を超えてしまっているという大問題があります。
http://www.iau.jp/pdf/m-JISHINCHOSAIINKAI01.pdf
(政府地震調査委員会資料、50%以上市区町村) 東京都区内・横浜市・名古屋市・大阪市だけを取り出しても、 2009年 2008年 東京都大田区役所
67.93% 29.20% 東京都江戸川区役所 66.27% 30.94% 東京都葛飾区役所 64.31% 29.78% 東京都荒川区役所
63.55% 14.27% 東京都江東区役所 62.25% 40.17% 東京都足立区役所 61.75% 13.06% 東京都港区役所
61.32% 27.15% 東京都中央区役所 61.20% 24.76%
横浜市港北区役所 71.41% 30.48% 横浜市栄区役所
69.00% 15.85% 横浜市神奈川区役所 68.23% 29.62% 横浜市鶴見区役所 67.82% 32.82% 横浜市西区役所
67.66% 45.92% 横浜市役所 66.73% 32.87% 横浜市中区役所 66.73% 32.68% 横浜市南区役所
55.96% 32.88% 横浜市磯子区役所 55.22% 27.71%
名古屋市南区役所 88.11% 67.52% 名古屋市天白区役所
84.57% 44.74% 名古屋市中村区役所 82.78% 64.48% 名古屋市中川区役所 81.40% 48.92% 名古屋市港区役所
77.57% 53.46% 名古屋市西区役所 77.17% 58.03% 名古屋市北区役所 72.33% 55.52% 名古屋市熱田区役所
53.50% 47.36% 名古屋市緑区役所 50.67% 60.03% 名古屋市中区役所 50.01% 39.36%
大阪市平野区役所
68.79% 28.55% 大阪市鶴見区役所 68.61% 24.98% 大阪市城東区役所 68.56% 30.19% 大阪市都島区役所
68.52% 29.55% 大阪市東成区役所 68.06% 25.73% 大阪市旭区役所 65.80% 23.05% 大阪市東淀川区役所
64.60% 21.84% 大阪市住之江区役所 63.66% 26.75% 大阪市西区役所 60.89% 23.52% 大阪市役所
59.73% 23.04% 大阪市福島区役所 59.04% 22.33% 大阪市淀川区役所 57.65% 21.43% 大阪市大正区役所
56.87% 24.31% 大阪市西淀川区役所 56.14% 20.84% 大阪市港区役所 55.06% 23.21% 大阪市此花区役所
52.66% 22.00%
となります。2008年に比べて2009年が驚異的に上昇をしています。まさに、非常事態といってよいものです。「耐震基準の重大問題」についての事実の公表と「耐震対策」は、急を要するということです。
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■日本建築構造技術者協会会長への質問状(要旨) NEW!
社団法人日本建築構造技術者協会 会長殿
5月17日以降、連絡させて頂いております。 気になったことをご質問させていただきます。
1.国土交通省の「耐震基準」通りに、 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10
(国交省) 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」と施主に説明している構造設計者も多いと聞いておりますが、そのような場合に、「震度6強から震度7程度」の地震で倒壊した場合、日本建築構造技術者協会の会員を代表するお立場で、「影響が無い」と、お考えなのでしょうか。
2.また、この「耐震基準」の震度記述に関して、「間違い無し」「訂正不要」と、日本建築構造技術者協会の会員を代表するお立場で、考えておられるのでしょうか。
ご回答を頂ければと思います。
国民は、「耐震基準」に対する正しい情報を知らず、 建築基準法通りに建てれば、 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」 と思い、 1日に住宅だけでも2000戸以上建て続けています。相当な投資額です。
この事態に対して、良識を疑いかねない、国民から見た場合、決して許されない不謹慎な発言も聞こえてきています。 こういう事態こそ、姉歯事件による社会的信頼を回復するために、日本建築構造技術者協会の会長として、「良識」を示される、最も良い機会だと思います。
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■耐震基準 (現行の耐震基準(新耐震基準)は昭和56年6月から適用)
・
中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、 ・
極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない
ことを目標としている。 ⇒ 国土交通省のQ&A
【参考】 「気象庁震度階級関連解説表」における「震度7」の解説
2009年3月31日に改定になった「気象庁震度階級関連解説表」でも、 木造建物で、「耐震性が高い」(昭和57年以降の「新耐震」を想定)ものは、 「震度7」の解説において、
「壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。まれに傾くことがある。」
となっている。 ⇒
説明
それが現実には、
☆ 現行耐震基準の、木造、鉄骨造、RC造の建物が、実大実験で、震度6強の地震動で倒壊 ☆
実際の地震でも、新耐震基準の木造の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)
している。
しかるに、構造設計者は、このような、よくわからない状況下で、建築確認申請時に、「構造安全証明書」に押印させられて、建物の構造の安全性に関する責任を取らされている。 一体、国の「耐震基準」が正しいのか、実際の実大実験、地震被害のデータが正しいのか。あまりに食い違いすぎている原因を明らかにすることが、本書執筆のきっかけであった。
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■耐震基準の問題の骨子1
この政策提言のベースとなる話は、日本の全ての建物、全ての国民の命に関わる国の「建築耐震基準の問題」の話である。
建築関係の多くの方々から、
「耐震基準は、ずっとおかしいと思っていた。」 「他の領域に比べて、大きく時代に遅れてしまっている。」
という言葉をいただいた。
建築基準法通りに作った建物が、震度6強の地震波で、実大実験で倒壊するたびに、研究者は、顔面蒼白になっていた。
阪神・淡路大震災でのJR鷹取波などは、震動台上で体験すると、これでは、もつわけはないと納得できる。 それまでの 50kineクラスの地震波(現行基準では
40kine)に比べて、150kineクラスの地震波は全く水準の違うものだ。それでも現行の気象庁震度階では震度7にはならない。(
kine=cm/秒 ⇒ 「全壊率の指標」
)
建築基準法通りの建物が「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」というような観念が、このJR鷹取波を観測した阪神・淡路大震災後においても、どうして形成されてしまったのか。実大実験を重ねるごとに、不思議さを感じていた。
このような震動台上での体験から、今この時期に(被害地震が頻発し、地震活動期に入らんとしている状況下で)、国民の生命と財産を守る「耐震基準」をきちんとしておかないと、大変なことになる、手遅れになってしまう、という思いで、今回、この内容をまとめた。
この「建築耐震基準の問題」の話は、非常に単純な話である。 1996年に、気象庁が、前年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の現地調査の結果を見て、震度7の説明文の内容とほぼ一致するように、すなわち、家屋の倒壊が30%以上になるように、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った(800〜1500gal)。 ⇒
説明1 2 その時点で(それ以降も)耐震基準の改定を行わなかったので、上記の「耐震基準」と矛盾することになってしまった。
その結果、
☆ 現行耐震基準の、木造、鉄骨造、RC造の建物が、実大実験で、震度6強の地震動で倒壊 ☆
実際の地震でも、新耐震基準の木造の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)
している。
 【1982年以降建物全壊率-計測震度 】
青▲は1995 年兵庫県南部地震の西宮市のプロット、 黒●▲は、平成15年の宮城県北部の地震、平成16年(2004
年)新潟県中越地震、平成17年 の福岡県西方沖の地震、平成19年(2007 年)能登半島地震、平成19年(2007 年)新潟県中 越沖地震、平成20年(2008
年)岩手・宮城内陸地震、平成20年の岩手県沿岸北部の地震
出典は、気象庁「震度に関する検討会
報告書」(平成21年3月) 第1章の
1 - 22頁 震度階級と計測震度との関係:波形記録有無含む全データは第3回検討会資料2-2
20頁より 震度6弱:計測震度5.5〜6.0 震度6強:計測震度6.0〜6.5 震度7:計測震度6.5〜
建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とするなら、耐震基準の「安全限界」の加速度(300〜400gal)も、同等に改定すべきである、ということである。
特に、
☆ 頻発する被害地震
☆ 30年以内
震度6弱以上の地震発生確率の異常な高さ ☆ 100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測
(4000gal観測も)
のことを考えると、耐震基準の見直しは急務である。
( 重力加速度1G=981gal )
既に民間でも動き出しつつある。
☆
「民間独自の耐震基準づくり」
(150kine 1500gal基準)
それに対し、現行耐震基準は、40kine
400galである。あまりに大きく隔たっている。 |
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■耐震基準の問題の骨子2
建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とする場合、標準せん断力係数をどの程度上げざるを得なくなるか、を考えてみる。
■「加速度基準」で考えて
建築基準法通りの建物が倒壊等の被害を生じない、「安全限界」の加速度は、300〜400gal である。その震度は、長年にわたって震度6強〜7程度とされてきたが、1996年の気象庁震度階改定により、震度6弱程度に引き下げられている。
【1996年気象庁震度階改定による旧・新震度階の加速度比較】
| 震度 |
4 | 5弱 |
5強 | 6弱 |
6強 | 7 |
旧震度階(gal) |
25〜80 | 80〜250 | 250〜400 | 400〜 |
改定震度階(gal) ※1 | 25〜80 |
80〜140 | 140〜250 |
250〜450 |
450〜800 | 800〜 |
改定震度階(gal) ※2 |
〜100 | 100〜240 |
240〜520 |
520〜830 | 830〜1500 |
1500〜 |
※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は※2のように大きくなる。 ※2
内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
上表からわかるように、「加速度」で考えて、 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」 とする限りは、1996年の気象庁震度階改定で、2倍以上差が生じているので、2倍以上、標準せん断力係数を上げざるを得なくなる。
⇒ 詳細
■実効入力地震動からみても
「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修気象庁)212頁の記載に従えば、 1996年に気象庁は、前年の兵庫県南部地震の現地調査の結果を見て、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った。
この説明に従えば、 ・1948年の福井地震の被災状況をみて、1949年に、家屋の倒壊が30%以上となる(震度7相当の)地震加速度を400galとし、 ・1995年の阪神大震災の被災状況をみて、1996年に、家屋の倒壊が30%以上となる(震度7相当の)地震加速度を、800gal(河角式の通り)まで引上げているので、 1996年改定段階で、実質2倍に引き上げたことになる。 (1981年に建築基準法改正で、在来木造の必要壁量を1950年段階の約2倍に上げているので、この話は対応する。)
・1949年に、実効的なものとして、400galとし、 ・1996年に、実効的なものとして(継続時間=「建物への作用時間」を考慮して)、800galとしたわけである。
1997年版「建築物の構造規定」、2001年版、2007年版の「建築物の構造関係技術基準解説書」の説明に従えば、「実効入力地震動」に相当し、
・実効入力地震動
400gal ⇒ 地表面地震動 800gal ・実効入力地震動 800gal ⇒ 地表面地震動 1500gal(内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より)
というようになる。
このように「実効入力地震動(加速度)」で考えてみても、 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」 とする限りは、1996年の気象庁震度階改定で、2倍程度差が生じているので、2倍程度、標準せん断力係数を上げざるを得なくなる。
⇒ 詳細
■「速度基準」で考えてみても
本論全体は、現行の気象庁震度階の震度計算における「加速度基準」に従って論を進めているが、現行の気象庁震度階には、後述のような問題があるので、中央防災会議の全壊率テーブル等にしたがって、震度を「速度」で換算して考えてみた。その場合でも同様の結果となった。全壊率は、「加速度」よりも「速度」の方が、より相関していることは、「全壊率の指標」の通りである。
内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」から、
| 震度 |
4 | 5弱 |
5強 | 6弱 |
6強 | 7 |
最大速度(kine) | 4〜10 |
10〜20 | 20〜40 |
40〜60 |
60〜100 | 100〜 |
となる。
現行建築基準法の「耐震基準」の、倒壊等の被害を生じない「安全限界」の地震動の速度は、40kine※である。この表
から見ても、現行「耐震基準」は、「5強〜6弱」である。これは時刻歴応答解析結果と合致する。
※出典: ・「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定−確率論から考えても」渡部丹
37-3、145頁、公共建築、1995年 ・「設計用模擬地震動に関する研究」渡部丹 建築研究報告No.92,March1981,建設省建築研究所
それに対して、 震度7は、100kine以上である。
このように「速度」で考えても、 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」 とする限りは、1996年の気象庁震度階改定で、2倍以上差が生じているので、2倍以上、標準せん断力係数を上げざるを得なくなる。
この「速度基準」での説明の方が、気象庁の現行震度階の「加速度基準」による問題に煩わされずに、現行建築基準法の「耐震基準」の問題を明瞭にすることができる。
⇒ 詳細
■以上のことから
建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とする限りは、2倍程度、標準せん断力係数を上げざるを得なくなるのである。
⇒ 詳細
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■極めて心配な問題 (施主・設計者・建設会社の立場から見て)
1.国の「耐震基準(新耐震基準)」は、 「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としています。」 ⇒
国土交通省のQ&A
2.実際は、 震度6弱程度で安全限界に達し、最悪、震度6弱から全壊の可能性がある。 ⇒
説明1 2
★極めて心配な問題 1 昨年の政府地震調査委員会の発表では、その震度6弱以上の地震の30年以内発生確率が驚異的に上昇し、関東・東海・近畿の多くの市区町村で50%を超えている。 ⇒
説明1 2
★極めて心配な問題 2 こういう状況であるが、 国は、いまだに、この「耐震基準」を改訂していないので、 施主は「震度6強から震度7程度」では大丈夫と思い、「震度6強から震度7程度」の地震がくれば、倒壊した建物の下敷きになって大怪我をしたり、命を失う可能性もある。 その場合、設計事務所、工務店・建設会社等は、施主側から、国の「震度6強から震度7程度では倒壊等は生じない」という耐震基準に違反しているとして、訴訟を起される可能性が高い。 ⇒
説明
★極めて心配な問題 3 さらに、国の耐震基準の「震度5強程度に対しては、ほとんど損傷を生じず」も、動的解析によれば、震度4〜5弱という結果になっている。 ⇒
説明
この場合も、 施主からみると、「震度5強程度に対しては、ほとんど損傷を生じず」と思い込み、震度4〜5弱地震で損傷してしまうと、想定外の大きな損害となり、資産価値が大きく低下することになる。 設計事務所、工務店・建設会社等は、国の耐震基準が「震度5強程度まで損傷が生じない」となっているので、施主から訴えられる可能性がある。訴訟の数としては、こちらの方が圧倒的に多いかもしれない。
以上の話は、1996年に問題が起こっているので、それ以降の全ての建物が対象の話である。
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■成熟期の最後に残された最大且つ持続的な景気・経済対策
★過去最大にして 非常に長期間にわたる「景気・経済対策」 耐震性アップを行わねばならないその戸数が、既存建物5000万戸以上という、あまりに多い戸数のために、非常に長期間にわたるが、「国民の命」と直結する問題ゆえに、最優先的に行わねばならない。そのため、過去最大にして非常に長期間にわたり、成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよいものである。 法的、税制上の優遇、誘導策を講ずれば、30年程度と長期間にわたり持続的経済成長が遂げられる政策になる。その期間は、戦後復興期+高度成長期以上のものとなる。 住宅は内需拡大の最大のものである。非常に裾野が広く、乗数効果が高い。 まだこの国には家計部門の金融資産1452兆円(2010年3月末)があり(蓄えがある段階にやらねば手遅れになる)、それが世に出まわりはじめれば、経済活性化のきっかけになる。 そして、30年以上という長期間にわたる持続的経済成長が見込めるので、将来に対する不安を一掃でき、これをきっかけにして本格的経済成長が始まる。
★有史以来の「悲願」である「地震に強い日本」の実現、歴史的大事業 地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成であり、第二の建国といってもよい歴史的大事業になる。有史以来の、この国の夢の実現である。 そして、我が国は「地震被害を0にできる技術」をすでに持っている。
★世界の国々から最も求められている大事業 この「地震に強い日本」へと向かう大事業は、我が国が世界経済の重要な役割を担っているため、世界経済の安定という視点からも、世界の国々から最も求められているものである。 そして、これは、次の日本の発展ために、生活基盤だけでなく、産業基盤の整備、「地震に強い日本」を形成し、世界経済の安定、そして、世界平和に貢献する。
★建設、未曾有の事態から、現在最も待ち望まれている経済政策 国土交通省が2010年1月に発表した建築着工統計によると、2009年の新設住宅着工戸数は前年比27.9%減の78万戸台となった。1968年に100万戸を超えてから初めての100万戸割れであり、45年前の水準にまで落ち込んでいる。また、国土交通省の2010年度の建設投資の見通しも、1977年度以来の、33年ぶりの低水準としている。まさに未曾有の事態である。
そのため、この経済政策は、今現在において、最も待ち望まれている経済政策といってもよいものである。
⇒ 詳細
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|
(目次)
■はじめに
■耐震基準における重大問題の発生
| 要約 |
建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は、長期間にわたって震度6強〜7程度とされてきたが、現行震度階(1996年気象庁震度階改定)では、震度6弱程度だったことが判明した。
★1996年気象庁震度階改定による旧・新震度階の加速度比較
| 震度 |
4 | 5弱 |
5強 | 6弱 |
6強 | 7 |
| 旧震度階(gal) |
25〜80 | 80〜250 | 250〜400 | 400〜 |
| 改定震度階(gal)※1 | 25〜80 |
80〜140 | 140〜250 |
250〜450 |
450〜800 | 800〜 |
| 改定震度階(gal)※2 |
〜100 | 100〜240 |
240〜520 |
520〜830 | 830〜1500 |
1500〜 |
損傷限界 安全限界
▼ ▼ 地動加速度
0 80 250 400gal
損傷限界 安全限界
▼ ▼ 地動加速度
0 80 140 250
450 800gal
損傷限界 安全限界
▼ ▼ 地動加速度
0 100 240 520 830 1500gal
損傷限界:建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界 安全限界:建築物が倒壊・崩壊等しない限界
※1
周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。 ※なお、グラフの色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定」
★震度7の新旧震度階比較
(震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)
| 震度 |
加速度(gal) |
速度(kine) | |
旧震度階 |
400〜 | 40〜 |
| 改定震度階※2 | 1500〜 |
100〜 |
以上のように、1996年気象庁震度階の改定により、長年、300〜400gal を、震度6強〜7程度(旧震度階)
としてきた建築基準法の「安全限界」は、1996年以降、震度6弱程度に引き下げられていた。 また、超高層建築物も、以下のように、「安全限界(レベル2)」は震度6弱程度である。
★超高層建築物の動的解析によく使用する地震動とその計測震度
※なお、震度の色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定」
(損傷限界) (安全限界)
震度4〜5弱
震度6弱
地動加速度:0gal 80〜100gal
300〜400gal程度
基準法通り建物
| 無損傷 | 小〜大 至る | 破壊に 可能性 | | | 倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■ |
実際の地震でも、新耐震基準の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)している。
しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上が予測されている。また、その「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿地方の多くの市区町村で50%を超えた(次章参照)。 このような重大問題が発生している。
|
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■現行の耐震基準
現行の建築基準法の耐震基準(新耐震基準)は昭和56年6月から適用され、以下の通りである。
・ 中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、 ・
極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない
ことを目標としている。 ⇒ 国土交通省のQ&A
■実大実験において耐震等級1(建築基準法通り)・2の建物が震度6強で倒壊
以上のように、現行の建築基準法の耐震基準では、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としているが、耐震等級1(建築基準法通り)・耐震等級2の建物が、「震度6強」地震動を使った実物大実験で、倒壊した。それも、2009年10月27日に(独)防災科学技術研究所などが行った実物大実験では、耐震等級3に近い、建築基準法の1.44倍の耐力をもつ木造住宅が、震度6強で倒壊した。
【木造】
★耐震等級1の木造が実験で倒壊 2004年に、(財)建材試験センターが行った実大実験において、現行の建築基準法通りの木造住宅が、震度6強の地震動(JMA神戸波
NS818gal、3方向100%加振)で倒壊した。 同実験の論文(2005年日本建築学会大会発表論文
講演番号22003)にも、「建築基準法や品確法の等級1を満たした建物であっても、(中略)兵庫県南部地震のような大地震時に倒壊する危険性を有していることがわかった。
」と記載されている。 → 朝日新聞記事
2006年11月24日
★耐震等級2の木造も実験で倒壊 2009年10月27日に(独)防災科学技術研究所などが行った、耐震等級2で建築基準法の1.46倍の耐力をもつ木造住宅が、震度6強の地震動で倒壊した。 →
神戸新聞記事 実験説明 倒壊ビデオ 3階建て木造軸組構法の設計法検証事業の報告
【鉄骨造】
★基準法通りの鉄骨が実験で倒壊 2007年9月に(独)防災科学技術研究所が、実大4階建鉄骨造建物の震動台実験を実施した。
試験体は、現行の建築基準法で定められる最低限の安全性を満足するよう設計され、鉄骨の構造骨組だけでなく、コンクリートの床・軽量コンクリートの外壁・アルミサッシ・ガラス窓・石膏ボードの間仕切壁・天井など、非構造体と呼ばれる部材も含めて、建物としての主要な要素を全て再現した((独)防災科学技術研究所の説明)。
震度6強の地震動で倒壊した(倒壊ビデオ、倒壊保護措置付)。
【鉄筋コンクリート造】
★基準法通りの鉄筋コンクリート造が実験で倒壊
2006年1月に(独)防災科学技術研究所が、実大6層鉄筋コンクリート建物の震動台実験を実施した。
試験体は、縦12m、横17m、高さ16mの6層構造で、70年代のやや古い設計であるが、ただし、建築基準法の現行規定を概ね満足するレベルのものである。震度6強(JMA
Kobe波)の地震動で倒壊した(実験説明 倒壊ビデオ、倒壊保護措置付)。
以上のように、建築基準法通り、もしくはそれ以上の設計での、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造が、ことごとく、震度6強の地震動で倒壊した。
■倒壊の原因
1996年に、気象庁が、前年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の現地調査の結果を見て、震度7の説明文の内容とほぼ一致するように※a、すなわち、家屋の倒壊が30%以上になるように※a2、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った(800〜1500gal※b)。 ⇒
説明 その時点で(それ以降も)耐震基準の改定を行わなかったので、 現行の「耐震基準」の「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」と完全に矛盾することになってしまった。
【気象庁の震度階改定】
| |
震度6-7境界加速度 |
震度7の家屋倒壊率※a2 | 建築基準法の対応 |
| 1949年当初 |
400galに※c
1948年福井地震 の被災状況から※a2
| 30%以上 | 1981年の建築基準法改正で、在来木造の必要壁量を、1950年頃当時の約2倍に上げている。このことの辻褄が合う。 |
| 1996年改定 |
800galに※b
1995年兵庫県南部地震 の被災状況から※a
|
30%以上 |
※a 「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:鰍ャょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)の212頁、「兵庫県南部地震の現地調査の結果、(中略)震度7を計測震度6.5以上と定義すれば、対応する現象が現在の震度7の説明文の内容とほぼ一致すると考えられる。」と記載。
※a2 「対応する現象が現在の震度7の説明文の内容」については、同書「震度を知る−基礎知識とその活用」の8頁、「昭和24(1949)年〜平成8(1996年)地震津波業務規則 別表第4付表」の「階級Z」の説明「激震。家屋の倒壊が30パーセント以上に及び」とある。
※b 800galといっても、800galが数秒間継続という条件がつくので、実質の加速度は大きくなり、内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」では、震度6強と7の境界加速度を1500gal程度となる。
※c 宇佐美龍夫編著「地震工学」市谷出版社14頁 表1・1 気象庁震度階級表「気象庁震度階級(1949)」に記載。 杉山英男著「地震と木造住宅」丸善
1996年 194頁 「1949年(中略)改訂当初は各震度に相当する加速度が記載されていた」と記載。
■現行震度階では、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は震度6弱程度と判明
現行建築基準法の耐震基準の「安全限界」では、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としているにも関わらず、耐震等級1・2の建物、それも耐震等級3に近い建物が、震度6強で倒壊した理由は、以上のように、1996年に気象庁が、1949年以来約50年ぶりに震度階を大改定していたからである。 以下に、1996年改定以前と改定後の比較を示す。
【旧震度階(1991年までの時期、目安として明記)】 震度4:25〜80gal、震度5:80〜250gal、震度6:250〜400gal、震度7:400gal以上
【改定震度階(1996年改定、周期約0.6秒※Bで下記加速度が数秒間継続した場合)】 震度4:25〜80gal、震度5弱:80〜140gal、震度5強:140〜250gal、震度6弱:250〜450gal、震度6強:450〜800gal、震度7:800gal以上(この値をめざしたフィルター設計のため誤差がある※C。
気象庁「震度と加速度」図3参照)
このように、1996年の震度階改定で、阪神・淡路大震災での被害状況も勘案し※、震度6と7の境界加速度が400galから2倍の800galに引上げられているが、但し、800galといっても、800galが数秒間継続という条件がつくので、実質の加速度は大きくなり、内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」では、震度6強と7の境界加速度を1500gal程度(下記表参照)としており、3.75倍程度に引上げられている。
※「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:鰍ャょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)212頁。
【内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より】
|
震度 | 4 |
5弱 | 5強 |
6弱 | 6強 |
7 | 最大速度(kine) | 4〜10 |
10〜20 | 20〜40 |
40〜60 | 60〜100 |
100〜 | 最大加速度(gal) | 100 240
520 830 1100 1500 |
加速度と震度階を整理すると以下のようになる。
|
震度 | 4 |
5弱 | 5強 |
6弱 | 6強 |
7 | |
旧震度階(gal) |
25〜80 | 80〜250 | 250〜400 | 400〜 |
| 改定震度階(gal)※1 | 25〜80 |
80〜140 | 140〜250 |
250〜450 |
450〜800 | 800〜 |
| 改定震度階(gal)※2 |
〜100 | 100〜240 |
240〜520 |
520〜830 | 830〜1500 |
1500〜 | ※1
周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
そのため、長年、300〜400galを、震度6強〜7程度※Aとしてきた建築基準法の「安全限界」は、1996年以降では、震度6弱程度に引き下げられていたのである。なお「安全限界」とは、建築物が倒壊・崩壊等しない限界のことで、これを超えると倒壊・崩壊が始まる。
損傷限界 安全限界
▼ ▼ 地動加速度
0 80 250 400gal
損傷限界 安全限界
▼ ▼ 地動加速度
0 80 140 250 450
800gal
損傷限界 安全限界
▼ ▼ 地動加速度
0 100 240 520 830 1500gal
損傷限界:建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界 安全限界:建築物が倒壊・崩壊等しない限界
※1
周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。 ※なお、グラフの色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定」
■震度7の新旧震度階比較
(震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)
現行建築基準法の耐震基準の「安全限界」では、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としている。以下に、震度7の、気象庁震度階1996年改定以前と改定後の比較を示す。
【震度7の新旧比較】
| 震度 |
加速度(gal) |
速度(kine) | | 旧震度階※1 |
400〜 | 40〜 |
| 改定震度階※2 | 1500〜 |
100〜 |
※1 速度は、下記説明 1 2
の通り、基準となる周期Tは、T≒0.6秒であり、ω=2π/T≒10 なので、加速度の1/10が速度となる。 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
この差は非常に大きく、後述のような「建物と地盤の相互作用」で埋められるものでは無い。
■現行震度階での、損傷限界・安全限界に至る地震動の震度算出
ここで建築基準法の「損傷限界」また「安全限界」の震度を詳細に検討してみる。
「損傷限界」とは、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界のことであり、これを超えると、建物の損傷が始まり、「安全限界」とは、前述の通り、建築物が倒壊・崩壊等しない限界のことで、これを超えると、倒壊・崩壊が始まる、というものである(下記、2007年版国土交通省住宅局建築指導課監修『建築物の構造関係技術基準解説書』53頁)。
2007年版の国土交通省住宅局建築指導課監修『建築物の構造関係技術基準解説書』では、
・「安全限界」に対応する「最大級の(極めて稀に発生する)地震動」に関しては、従来記載されていた「震度6強〜7程度」の記載が抹消(49頁、2001年版の48頁には「震度6強〜7程度」と記載)されており、「標準せん断力係数1.0以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」となっており、時刻歴応答解析から逆算して求めるしか方法がなくなった。
・「損傷限界」に対応する「中程度の(稀に発生する)地震動」に関しても、同様で、従来記載されていた「震度5強程度」の記載が抹消(49頁、2001年版の48頁には「震度5強程度」と記載)されており、「標準せん断力係数0.2以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」となっており、時刻歴応答解析から逆算して求めるしか方法がなくなった。
そこで、時刻歴応答解析を行った結果、固有周期0.15秒〜0.8秒減衰定数5%の範囲に入る一般建物では、以下の通りであり、やはり、「安全限界」は、震度6弱程度であった。
【建物に最不利入力時=安全側】 ・「損傷限界」(標準せん断力係数0.2)に至る「中程度の地震動」: 震度4〜5弱
(計測震度3.9〜4.5) ・「安全限界」(標準せん断力係数1.0)に至る「最大級の地震動」: 震度5強〜6弱(計測震度5.4〜5.9)
【建物に最有利入力時=危険側】 ・「損傷限界」(標準せん断力係数0.2)に至る「中程度の地震動」: 震度4〜5弱
(計測震度4.3〜4.7) ・「安全限界」(標準せん断力係数1.0)に至る「最大級の地震動」: 震度6弱〜6強(計測震度5.7〜6.1)
ここで、 「建物に最不利入力時=安全側」とは、建物が耐えられる地震力が計算上最も小さくなる(安全側の)場合で、建物のXまたはY方向の水平1成分のみ地震入力した場合である。
「建物に最有利入力時=危険側」とは、建物が耐えられる地震力が計算上最も大きくなる(危険側の)場合である。
すなわち、同じ大きさの地震力を水平2成分で入力想定の場合で、そのため基準法上、XY方向別々計算のため入力加速度を上記「最不利入力時」に比べ1.41倍大きくでき、加えて、上下動入力も想定のため(基準法上計算しないので)上下動入力加速度分を大きくできる場合である。
上下動は水平2成分合成1G時に0.3G(平12建告2009号水準)となるような比率で地震継続全時間での入力を想定した。 なお、構造計算ではこのような「危険側」となる計算は許されていない。
耐震等級1・2・3ごとの「安全限界」「損傷限界」の震度算出は、下記の震度算出方法を参照。
さらに、「超高層建築物」に関しての設計用地震動の震度も、以下に示す。 「建築物が倒壊、崩壊等しないこと」を要求(平成12年告示第1461号)されている「極めて稀に発生する地震動」(=レベル2)は、すなわち、「安全限界」は、同様に、震度6弱程度である。 ⇒
【参考】「民間独自の耐震基準づくり」(150kine
1500gal基準も)
【超高層建築物の動的解析によく使用する地震動とその計測震度】
※なお、震度の色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定」
以上のことから、「建築基準法通りの建物」を、大略イメージ化すれば、以下のとおりである。 ・「無損傷」と「小〜大破壊に至る可能性」の境界加速度:「80〜100gal」、
・「小〜大破壊に至る可能性」と「倒壊・崩壊の可能性」の境界加速度:「300〜400gal程度」 は、『2007年度版 建築物の構造関係技術基準解説書』『1997年度版
建築物の構造規定』(国土交通省(建設省)住宅局建築指導課他監修)に記載の「最大級の地震動(大地震動)=300〜400gal」「中地震動=80〜100gal」に則っている。また、震度は、上述の通りである。
(損傷限界) (安全限界)
震度4〜5弱
震度6弱
地動加速度:0gal 80〜100gal
300〜400gal程度
基準法通り建物
| 無損傷 | 小〜大 至る | 破壊に 可能性 | | | 倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■ |
■損傷限界・安全限界に至る地震動の震度算出方法
最後に、上述の損傷限界・安全限界※Dに至る地震動の震度の算出方法を説明する。
@建物は、固有周期 0.15秒、0.3秒、0.6秒、0.8秒、減衰定数 5%の範囲のものとし、1質点モデルとした。 A模擬地震波(建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号、平成12年建設省告示1457号の加速度応答スペクトルに基づく)を、工学的基盤、第1種地盤、第2種地盤ごとに、10波(ランダム位相)ずつ作成した。
B上記地盤ごとに作成した10波ごとに、どの程度の増幅(低減)率の地震波が、建物応答で ・損傷限界(C0=0.2 ⇒196.2gal)、 ・安全限界(C0=1.0
⇒981gal) に至るかを時刻歴応答解析で求めた。 Cその地震波ごとに、その解析結果から計測震度、震度を求めた。 D以上の計算を、建物にとって「安全側」と「危険側」の2つの場合について行った。
詳細結果は、下記から参照可能である。 耐震等級2・3の場合も掲載している。
★建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号に基づく地震力×1.0 倍(耐震等級1)の場合
[PDF形式:55kb] ★建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号に基づく地震力×1.25倍(耐震等級2)の場合
[PDF形式:55kb] ★建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号に基づく地震力×1.5 倍(耐震等級3)の場合
[PDF形式:55kb]
【ここまでの共通の※】
※A 「約300gal〜400gal程度で、震度6強〜7程度」の記載について ・1997年版の建設省住宅局建築指導課等監修「建築物の構造規定」においても、従来通り「約300galから400gal程度で、気象庁震度階の震度6強〜7程度」(17頁)と記載。 ⇒
【参考】
1997年版「建築物の構造規定」 ・2001年版の国土交通省住宅局建築指導課等編集「建築物の構造関係技術基準解説書」でも、「極めて稀に発生する荷重・外力」として「震度6強〜7程度」(48頁)
と記載。 ⇒ 【参考】
2001年版「建築物の構造関係技術基準解説書」
※B 新耐震(1981年)では、80galで
8kine(一次設計)、400galで 40kine(ニ次設計)が設計用入力地震動の基準的なもので、ω=10 であり T=2π/ω≒0.6秒 となる。 この設計用入力地震動の周期と合致するので、「目安として」は妥当なものと考えられる。 新耐震(1981年)においては、80galで
8kine(一次設計)、400galで 40kine(ニ次設計)が設計用入力地震動という記載に関しては、 ・渡部丹著「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定−確率論から考えても」37-3、145頁、公共建築、1995年 ・渡部丹著「設計用模擬地震動に関する研究」
建築研究報告No.92,March1981,建設省建築研究所 を参照。 この周期0.6秒を例に挙げたのは、旧震度階との継続性を維持した周期(約0.6秒)に着目するのが、わかりやすいためである。
さらに言えば、旧震度階では、震度6と7の境界加速度(400gal)は、「河角の式(I=2×log(a)+0.7)」に基づいておらず、1996年震度階改定時に、河角の式(最終的には定数項が違う修正式)に基づいた結果、旧と新の震度階の、震度6と7の境界加速度に大きなずれが生じた。
※C フィルター設計と「河角の式(I=2×log(a)+0.7)/河角の修正式(I=2×log(a)+0.94)」の定数
07、0.94 について、少し詳しく説明する。 気象庁「震度と加速度」図3グラフについては、気象庁にヒアリングして同グラフを作成した。 グラフの作成手順は、 (1)震度階毎の計測震度の境界値から、河角の修正式で加速度を算出 (2)周期毎に、計測震度算出で使用する、ハイカットフィルター、ローカットフィルター、周期の効果を表すフィルターによる低減値をそれぞれ算出し、それらを乗じて低減係数を算出 (3)(1)と(2)を乗じて、各震度階に対応する加速度を周期毎に算出し、グラフを作成 となる。 旧震度階算出方法と、現行の震度階算出方法との関係を調べるため、加速度a[gal]について河角の式で算出した震度と、加速度b[gal]について河角の修正式で算出した震度が等しいとすると、 I=2×log(a)+0.7=2×log(b)+0.94 が成り立つ。
これより log(a/b)=0.12であり、a/b≒1.318となる。 つまり、現行の震度階算出方法で旧震度階算出方法と同じ震度を得るには、加速度に
b/a≒1/1.318=0.759倍の差がある。 ここで、上記グラフで周期0.588秒(上記グラフエクセル中の「表」参照)のところを見ると、3種類のフィルターによる低減係数が0.759となっており、このように、周期約0.6秒付近(0.588秒)で、旧震度階算出方法と、現行の震度階算出方法とが一致するように、フィルター設計していることが分かる。
※D 「安全限界」の地震動の震度算出方法の動的解析に関して 住宅局建築指導課等監修「建築物の構造規定(1997年版)」の説明によると、
8.2.5
保有水平耐力 (1)保有水平耐力と必要保有水平耐力 (前略、以下、140頁記載) この尺度として考えられるものが、以下に示す考え方である。大きな地震動を受けた場合の建築物の挙動についてはN.M.Newmarkの研究以来一般に次のことが認められている。完全弾塑性復元力特性をもつ一質点系構造物が地震動を受けた場合、弾塑性応答と弾性応答との関係は地震による入力エネルギーが同量であるため図8.2-5に示す力−変形曲線の囲む面積が同じになる。 これを建築物の耐震性とあわせて考えれば次のようになる。建築物が地震により崩壊しないためには、地震動に対して構造体が弾性状態にとどまるか、塑性状態に入っても構造体の抵抗力が急激に減ずることなく変形し得る必要があるということになる。 つまり、図8.2-5で与えられる面積は地震時に建築物に入力し得るエネルギーの大きさを表すことになる。このように考えて、図8.2-5のOAのような力−変形関係をもつ建築物と、OCDのような力−変形関係をもつ建築物の耐震性が△OABと□(台形)OCDEの面積が等しければ同じであると評価するのである。 建築物に要求すべき最終的な水平方向の抵抗力を必要保有水平耐力というとき、図8.2-5に示されるA点の耐力がQudで表される。その大きさは、弾性応答1Gの水平力である。
以上から、「安全限界」の、応答1Gの水平力(加速度)計算も、弾性応答を行うということである。 (要するに、「弾塑性応答」で計算すれば、1Gまで応答値は達しないが、「ねばり」を期待できるので、エネルギー的に等価になるように「弾性応答」で換算すれば、1G相当になるという考え方である。)
■実際の地震でも「震度6弱から全壊」=新耐震で全壊被害があった地震から
2003年7月26日宮城県北部の地震以降に、1982年以降の木造(「新耐震」)の全壊被害があった地域の観測点での地震動を下表に掲載する。震度6弱から全壊が始まっている。
 【新耐震で全壊被害があった最近の地震動】 加速度以外の速度、変位のデータが無いものは、時刻歴データを公表していないためである。 全壊棟数の出典は、気象庁「震度に関する検討会
報告書」(平成21年3月)の第1章
さらに、上記の2003年7月26日宮城県北部の地震以降の地震被害と、1995年兵庫県南部地震の西宮市での地震被害とを足し合わせて、「新耐震木造全壊率と計測震度との関係」を下図に掲載する。 震度6弱から全壊が始まっているのが、より明瞭になる。
震度階級と計測震度との関係は以下の通りである。 震度6弱:計測震度5.5〜6.0 震度6強:計測震度6.0〜6.5 震度7:計測震度6.5〜
 【1982年以降建物全壊率-計測震度 】 青▲は1995
年兵庫県南部地震の西宮市のプロット、 黒●▲は、平成15年の宮城県北部の地震、平成16年(2004 年)新潟県中越地震、平成17年の福岡県西方沖の地震、平成19年(2007
年)能登半島地震、平成19年(2007 年)新潟県中越沖地震、平成20年(2008 年)岩手・宮城内陸地震、平成20年の岩手県沿岸北部の地震
出典は、気象庁「震度に関する検討会
報告書」(平成21年3月) 第1章の
1 - 22頁 震度階級と計測震度との関係:波形記録有無含む全データは第3回検討会資料2-2
20頁より
■「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率驚異的上昇
しかるに、以下の章で述べるように、昨年の政府地震調査委員会の発表では、「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率が驚異的に上昇し、関東・東海・近畿の多くの市区町村で50%を超えている(下表参照)。
中央防災会議の発表でも、東海地震、東南海地震、南海地震、首都直下地震の発生確率は、30年以内に60〜70%、50年以内90%である(東海地震はすぐに来てもおかしくない状況)。且つ、関東・東海・近畿の広域で震度6弱以上を予測している(下地図の黄・橙・赤色地域)。
以上のように、現行の建築基準法通りの建物の「安全限界」は震度6弱程度であるから、「震度6弱」から危険水位、「震度6強」では、「安全限界」を超えており(建築物が倒壊・崩壊しないという)安全が保証されない状態になっている。
地図をクリックすると、地震被害想定資料が参照可能。
30年以内で
震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる都道府県※ (2009年基準での2008年との比較) 政府地震調査委員会
| 地方 | 都道府県 | 2009年 (県内最大値(役場)) | 2008年 (2009年同地点の値) |
北海道 | 北海道 | 63.89% | 20.21% |
東北 | 宮城県 | 58.36% | 6.45% |
関東 | 茨城県 | 78.13% | 12.50% |
埼玉県 | 65.39% | 27.34% |
千葉県 | 77.03% | 17.85% |
東京都 | 67.93% | 29.20% |
神奈川県 | 88.71% | 73.41% |
甲信 | 山梨県 | 89.88% | 86.41% |
長野県 | 60.31% | 47.18% |
東海 | 岐阜県 | 73.37% | 29.68% |
静岡県 | 96.44% | 92.84% |
愛知県 | 94.57% | 85.46% |
三重県 | 87.09% | 73.37% |
近畿 | 滋賀県 | 51.66% | 7.09% |
京都府 | 61.40% | 29.93% |
大阪府 | 68.79% | 28.55% |
兵庫県 | 52.30% | 26.28% |
奈良県 | 73.63% | 46.54% |
和歌山県 | 86.80% | 80.14% |
四国 | 徳島県 | 68.93% | 54.61% |
香川県 | 54.33% | 23.69% |
愛媛県 | 65.00% | 40.20% |
高知県 | 65.09% | 59.18% |
九州 | 大分県 | 55.59% | 8.73% | 宮崎県(参考) | 49.27% | 17.72% |
※県内の県庁及び各市区町村役場(周辺)での最大地震発生確率で、県内の地域でこれ以上になる場合がある。
2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村) |
|
30年以内で
震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる4大都市(役場単位)※ (2009年基準での2008年との比較) 政府地震調査委員会
| 4大都市 | 場所 | 2009年 | 2008年 |
| 東京都区内 | 大田区役所 | 67.93% | 29.20% |
| | 江戸川区役所 | 66.27% | 30.94% |
| | 葛飾区役所 | 64.31% | 29.78% |
| | 荒川区役所 | 63.55% | 14.27% |
| | 江東区役所 | 62.25% | 40.17% |
| | 足立区役所 | 61.75% | 13.06% |
| | 港区役所 | 61.32% | 27.15% |
| | 中央区役所 | 61.20% | 24.76% |
| 横浜市 | 港北区役所 | 71.41% | 30.48% |
| | 栄区役所 | 69.00% | 15.85% |
| | 神奈川区役所 | 68.23% | 29.62% |
| | 鶴見区役所 | 67.82% | 32.82% |
| | 西区役所 | 67.66% | 45.92% |
| | 横浜市役所 | 66.73% | 32.87% |
| | 中区役所 | 66.73% | 32.68% |
| | 南区役所 | 55.96% | 32.88% |
| | 磯子区役所 | 55.22% | 27.71% |
| 名古屋 | 南区役所 | 88.11% | 67.52% |
| | 天白区役所 | 84.57% | 44.74% |
| | 中村区役所 | 82.78% | 64.48% |
| | 中川区役所 | 81.40% | 48.92% |
| | 港区役所 | 77.57% | 53.46% |
| | 西区役所 | 77.17% | 58.03% |
| | 北区役所 | 72.33% | 55.52% |
| | 熱田区役所 | 53.50% | 47.36% |
| | 緑区役所 | 50.67% | 60.03% |
| | 中区役所 | 50.01% | 39.36% |
| 大阪市 | 平野区役所 | 68.79% | 28.55% |
| | 鶴見区役所 | 68.61% | 24.98% |
| | 城東区役所 | 68.56% | 30.19% |
| | 都島区役所 | 68.52% | 29.55% |
| | 東成区役所 | 68.06% | 25.73% |
| | 旭区役所 | 65.80% | 23.05% |
| | 東淀川区役所 | 64.60% | 21.84% |
| | 住之江区役所 | 63.66% | 26.75% |
| | 西区役所 | 60.89% | 23.52% |
| | 大阪市役所 | 59.73% | 23.04% |
| | 福島区役所 | 59.04% | 22.33% |
| | 淀川区役所 | 57.65% | 21.43% |
| | 大正区役所 | 56.87% | 24.31% |
| | 西淀川区役所 | 56.14% | 20.84% |
| | 港区役所 | 55.06% | 23.21% |
| | 此花区役所 | 52.66% | 22.00% |
|
下記の話にそのままつながるが、加速度(震度)が比較的小さくても(「安全限界」加速度(400gal)を超えておれば)、変位がそれなりに大きいと、全壊等の被害が出る。つまり、地盤周期の長い、地盤の良くない場所で起こると、かなりの地震被害が出る。
その地盤の良くない地域での、地震発生確率が、異常に上昇している。 ⇒ 地震発生確率50%を超える市区町村
地震が頻発しているが、現在のところ、首都圏、中部・近畿圏で、M6弱以上の大地震が起こっていない。このような大都市圏では、軟弱地盤に住宅地が広がり、多くの人が住んでいる。
今回の問題は、それを念頭に考えるべきである。
■変位の大きな地震の増加とその破壊力
変位の大きな地震が増えている。
 【変位の大きい地震動】
それは埋立地、軟弱地盤での宅地等の造成が増えているからである。 そのような地盤では地震加速度が増幅するだけでなく、地震の変位が増える。
そうなると、 ・倒壊の基準となる層間変形角を容易に超えるだけでなく、 ・保有水平耐力の前提となる変形量が、地震の変位の大きさで、倒壊・崩壊過程での余裕として、考えるわけにはゆかなくなる。
加速度がそれほど大きくなくても、(応答値
200gal(地動加速度 80〜100gal)程度で破壊が始まるので) 300〜400galの地動加速度で、50cmも変位すれば、倒壊する建物が増える。 そのような地震でも震度6弱である(現行震度階は「加速度基準」のため、変位が反映されにくい)。
軟弱地盤においては、変位が大きくなった地震動では、震度6弱でも倒壊が始まる。
上記説明のように、 そのような地盤の良くない地域での地震発生確率が異常に上昇している。
⇒ 地震発生確率50%を超える市区町村 地震が頻発しているが、現在のところ、首都圏、中部・近畿圏で、M6弱以上の大地震が起こっていない。このような大都市圏では、地盤の良くない地域に住宅地域、業務地域が拡がっている。 このような地域においては、変位が大きくなり、震度6弱でも倒壊が始まる。
今回の「耐震基準の問題」は、
・地盤の良くない地域での、地震発生確率が異常に上昇している ・地盤の良くない地域では、変位が大きくなり、震度6弱でも倒壊が始まる
ことを念頭に考えるべきである。
【参考】
加速度(震度)が小さくて地震被害の大きい地震、加速度(震度)が大きくても地震被害の少ない地震
震度6弱から全壊が始まっているが、震度6強でも倒壊の少ない地震があるのは、現行の気象庁震度階が、「加速度」をベースに計算を行っているゆえの問題である。同じ加速度であれば、変位・速度の差がそれほど震度に反映されない問題である。
・加速度(震度)が大きくても、短周期(変位が小さい)の地震の場合は、全壊等の被害がそれほどで発生しない。
・加速度(震度)が比較的小さくても(「安全限界」加速度(400gal)を超えており)、変位がそれなりに大きいと、全壊等の被害が出る。 地盤周期の長い、地盤の良くない場所で起こると、かなりの地震被害が出る。
地震が頻発しているが、現在のところ、首都圏、中部・近畿圏で、M6弱以上の大地震が起こっていない。 このような大都市圏では、軟弱地盤に住宅地が広がり、多くの人が住んでいる。
それを念頭に考えるべきである。
★加速度(震度)が小さくて地震被害の大きい地震、加速度(震度)が大きくても地震被害の少ない地震について
加速度(震度)が比較的小さくても(「安全限界」加速度(400gal)を少し超えているだけでも)、地震被害の大きい地震は、変位が大きい地震、中・長周期成分が主成分の地震である。
 【震度と全壊率が逆転した地震動】 上表は、震度の小さい方が、全壊率が大きい地震動の比較である(震度5.8:
11.1%、震度6.1: 0%/1982年以降の木造(「新耐震」)全壊率)。加速度は震度が大きいほうがはるかに大きい(震度5.8: 490gal、震度6.1:
1566gal/水平成分合成)、しかし変位がまったく違う(震度5.8: 80.1cm、震度6.1: 3.8cm/水平成分合成)。
 【震度がほぼ同じで変位の大きさがまったく違う地震動】 上表のように、震度がほぼ同じ(6.2と6.1)で、変位がまったく違う(66.2cmと3.8cm)地震動が存在する。加速度は、平成19年新潟県中越沖地震の方が約半分と小さいにもかかわらず、全壊棟数は、観測点のある柏崎市だけで1000棟以上であり、平成15年宮城県沖の地震の方は、全国でも僅か2棟である。
★阪神大震災の場合 ・神戸海洋気象台等の地盤の良い所では、加速度(震度)が大きくても、それほど周期が長くない(変位もそれほど大きくない)ので、全壊等の被害がそれほど発生していない。
・JR鷹取駅周辺等の地盤の良くない所では、上記神戸海洋気象台観測波ほどの加速度ではないが、変位が大きいので、全壊等の被害がかなり発生している。
★全壊率の指標 (加速度+変位 ⇒ 「速度」) 「加速度」より、「速度」の方が、全壊率との、相関性が高い。
「一定以上の(応答)加速度と一定以上の(応答)変位に到達すると倒壊が始まる。」 ので、 「全壊率(倒壊率)は、「(応答)加速度+(応答)変位」との、相関性が高い。」 が正しいと考えられる。
(応答)と書くことによって「周期=共振」概念も加味できる。
つまり、 「全壊率(倒壊率)は、「加速度+変位」との、相関性が高い。」
このことをアバウト(加速度+変位のアバウトな合成指標)に表現すれば 「全壊率(倒壊率)は、「速度」との相関性が高い。」
■耐力として余裕があるか
以上を整理すると、
・1996年(気象庁震度階改定)以前: 建物の安全限界の加速度300〜400gal≒震度6-7境界の地動加速度400gal ⇒
「震度6-7(境界:400gal)まで倒壊等の被害が生じない」と言える
・1996年(気象庁震度階改定)以降: 建物の安全限界の加速度300〜400gal<<震度6強-7境界の地動加速度1500gal ⇒
「震度6強-7(境界:1500gal)まで倒壊等の被害が生じない」とは全く言えない
となる。 以上の話は、地表面地震動ではなく、建築物への真の地震入力の震度で、且つ構造躯体(「建築物の構造耐力上主要な部分」)のみの耐力の場合であり、且つ標準せん断力係数C0=0.2、C0=1.0の構造計算をしている場合である。
耐力としてどれだけ余裕があるかを見るために、 有利な話、不利な話を列挙すると
★有利な話 ・余裕を持って設計している場合
・不静定次数が高い場合 ・仕上材等の二次部材(建築基準法では認めていない) ・地震入力方向については、建物にとって有利な方向(正方形建物の場合45度入力等)で入力する場合
・「建物と地盤の相互作用」が有利に働く場合
★不利な話
・余裕を持って設計していない場合も多い ・不静定次数が高くない場合 ・仕上材等の二次部材についても、バランスを崩す場合もあり偏心形成、短柱の形成等、全て有利に働くとは限らない。また耐力が得られない場合も多い
・設計、施工のミス(手抜きの場合もある) ・使用上の問題、経年劣化 ・地震入力方向については、阪神・淡路大震災でのJMA神戸波のように、ほぼ南北方向で建物に不利な方向で入力する場合もある
・「建物と地盤の相互作用」が不利に働く場合もある
・2階建て木造住宅等の4号建築(木造の場合は、2階以下、延面積500u以下、高さ13m以下、軒高9m以下)は、仕様規定のみで、標準せん断力係数C0=0.2、C0=1.0の計算もしていない場合も多い
→「新耐震でも76.75%で耐震性に問題がある」(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査
2頁) ・31m以下の建物で、不整形(剛性率・偏心率が規定値外)で無い場合は、標準せん断力係数C0=1.0の計算をしていない場合が多い
結局、不利な話も考えると、有利な話だけをしていると危険な可能性を持つ。
■「相互作用」で補完する説明にも限界
(現在、1998年建築基準法改正で2000年に施行された「限界耐力計算」では、「建物と地盤の相互作用」の効果を、一般建物の設計にも利用可能となった。
しかし、現在の耐震基準が「実効入力地震動」という形で、「設計用地震動」を、既に「地表面地震動」に対して低減したものであれば、二重に低減した形となり、非常に危険である。
⇒ 【参考】「設計用地震力の評価」 結局、以下に述べる議論は、地表面地震動は、地表面地震動として確定し、その後、建物への入力として、「建物と地盤の相互作用」が有利に働く場合は、低減するのは良い。「建物と地盤の相互作用」は、場合によっては不利に働く場合もあるし、木造住宅のような軽量のものでは期待できないこともある。そのため、耐震基準として全国一律に、既に低減しているのであれぱ、問題である。)
1997年(1997年版「建築物の構造規定」)以降、「建物と地盤の相互作用」で、説明する方向に、すなわち、「実効入力地震動」で、地動加速度と建物入力加速度の違いで説明しようとしてきた。建物が倒壊・全壊するレベルの地震動でも、「建物と地盤の相互作用」が有利に働けば、倒壊・全壊しない場合もあるという説明である。 しかし、後掲の「建物と地盤の相互作用」文献のように、「建物と地盤の相互作用」についても、「必ず有利に働く」という考え方は、非常に危険である。
★木造の場合は、「地盤建物相互作用による建物周期の伸びは小さいこと、減衰効果もそれほど大きくない」※3
の通りで期待できない。
★中層建物の場合でも、「大被害に至らないまでも相互作用効果のために応答が増大する逆転現象ケースも見られた」※2
の通りである。
★軟弱地盤に建つ場合が増えているが「長周期側に大きなピークを持つ地震動に対しては相互作用による周期の伸びによって応答が増大する場合もある」※1
の通りである。
★観測結果から「建物と地盤の相互作用」の入力損失の効果は、地震動の短周期側では確認されている。例えば、建築研究所新館また釧路合同庁舎では地震動の周期0.5〜0.6秒以下の効果は確認されている。しかし、「地震動の周期約0.7秒以上では、「建物と地盤の相互作用」による建物への実効入力の低減効果はほとんど期待できない」※4
ということであれば、阪神大震災で最大加速度を観測した神戸海洋気象台観測波(卓越周期約0.7秒)同等以上の地震動では、地震入力を低減する効果が無いことになる(下表参照)。 つまり、このような一般的な地盤では、阪神大震災で最大加速度波クラスもしくはそれ以上の破壊力のある(速度・変位の大きい)地震動※では、効果が期待できないということになる(※大きな加速度の地震動ほど地震動の周期は伸びる)。 また、今までの地震被害との関係で見れば、地震動周期0.5秒以下での低減効果であれば、それほど建物の全壊等にかかわる被害には貢献しない。(阪神大震災の、「安全限界」の加速度を大きく超える地震動(建物が倒壊・全壊するレベルの地震動)でも、倒壊等の被害が少なかった理由は、後述の説明のように、地震変位が、倒壊させるほどの変位ではなかったことによる可能性が大きい。)
 【ローカットフィルターによる震度の低減/ JR鷹取波】
 【ローカットフィルターによる震度の低減/ JMA神戸波】
上表は、「建物と地盤の相互作用」の入力損失の効果として、0.4秒、0.6秒のローカットフィルターを掛けてみたものである。しかし、ほとんど震度・計測震度低減に貢献しない。例えば、0.6秒のローカットフィルターの場合は、0.6秒以下の全ての周期にわたって、100%カットされるので、「建物と地盤の相互作用」による入力損失よりも、極端な(100%)低減のフィルターである。そういうものであっても、上表の通り、震度低減には貢献しない。
★しかも、建築基準法通りの建物では、「安全限界」が、震度6弱程度(300〜400gal)で、震度6強-7の境界加速度でさえ「日本で起きる一般的な地震」では1,500galと考えられるので、「建物と地盤の相互作用」が有利に働いたとしても、到底無理がある。
 【ローカットフィルターによる震度の低減/ タルザナ波】
 【ローカットフィルターによる震度の低減/ 日野波】
上表は、「建物と地盤の相互作用」の入力損失の効果として、震度7になる、以下の地震に、ローカットフィルターを掛けてみたものである。
・
タルザナ波(1994年ノースリッジ地震) ・ 日野波(2000年鳥取西部地震 KiK-net日野(TTRH02))
前述のように、0.6秒のローカットフィルターの場合は、0.6秒以下の全ての周期にわたって、100%カットされるので、「建物と地盤の相互作用」による入力損失よりも、極端な(100%)低減のフィルターである。そのような極端なローカットフィルターをかけた後(入力損失後)であっても、加速度は、「安全限界」の
300〜400gal を、はるかに超えている。 また、加速度がローカットフィルター(入力損失)によって下がったとしても、中・長周期成分は温存されているので、これらの波は、非常に破壊力のある波である。
つまり、「建物と地盤の相互作用」による入力損失によって、短周期成分がカットされたとしても、中・長周期成分が残っている限り、実質の破壊力も温存される。 ⇒
全壊率の指標
【「建物と地盤の相互作用」文献】 ※1
東京大学地震研究所:「兵庫県南部地震のように長周期側に大きなピークを持つ地震動に対しては相互作用による周期の伸びによって応答が増大する場合もあり得ること、等を明らかにした。」(壁谷澤研究室)
※2 京都大学防災研究所:「低層建物は相互作用の効果で大被害を免れる場合もあるが、その恩恵を常に受けるわけではなく、(中略)中層建物の場合、大被害に至らないまでも相互作用効果のために応答が増大する逆転現象ケースも見られた。」(相互作用と上部構造の応答,第6回構造物と地盤の動的相互作用シンポジウム,2001年3月5日)
※3 (独)建築研究所:「木造住宅における地盤建物相互作用による建物周期の伸びは小さいこと、減衰効果もそれほど大きくないこと、また、これらの振動特性は、地盤種別の影響を受けることなどが判った。」(既存木造建物の地震応答観測(その1)
大都市大震災軽減化特別プロジェクト(平成15年度) 2004年5月 495頁)
※4
(独)建築研究所:「地震時における建築物への実効入力地震動の評価に関する研究(研究期間
平成17〜19 年度)」において、「原田の提案式1)の妥当性を観測記録により検証した。(中略)
簡易式の適用性を確認することができた。」その結果の「図1 観測におけるフーリエスペクトル比と原田の結果との比較(全観測地震動)」(下図参照)に従えば、地震動の周期約0.7秒以上では、「建物と地盤の相互作用」による建物への実効入力の低減効果はほとんど期待できない、ということになる。 ⇒
参考論文1、 2 また、釧路合同庁舎の地下1階と地表に対するフーリエスペクトル比でもほぼ同様の観測結果が得られている(「建築研究所の強震観測」鹿嶋俊英著
防災科学技術研究所研究資料 第264号2005年3月 38頁図13(下図参照))。 また、広尾町役場の1階と敷地内地盤上のK-NET広尾観測地点に対するフーリエスペクトル比でもほぼ同様(地震動の周期約0.35秒以下の効果=0.35秒以下の効果とは、計測震度を計算する時の「ひげ」を取るフィルター程度の効果でしかない))の観測結果が得られている(「建築研究所の強震観測」鹿嶋俊英著
防災科学技術研究所研究資料 第264号2005年3月 36頁図8(下図参照))。 このことは、約2秒の免震装置では、周期1秒台の地震動の免震はほとんど困難であり、一般的な地盤ではそれよりも固いので、うなずけるものである。
 【図1
観測におけるフーリエスペクトル比と原田の結果との比較(全観測地震動)/建築研究所新館】
 【図13
地下1階と地表に対するフーリエスペクトル比/釧路合同庁舎】
 【図8
K-NET広尾と広尾町役場の記録のフーリエスペクトル比/広尾町役場】
■国の耐震基準の基本的考え方
ここで振り返ってみると、
・1996年の気象庁震度階改定まで 建物の安全限界の加速度300〜400gal内に、地動加速度400galがほぼ収まり、「震度6-7(境界:400gal)まで倒壊等の被害が生じない」という考え方は、構造部材要素だけの計算に基づく考え方(「安全側の考え方」)であったのが、
・1996年の気象庁震度階改定以降 建物の安全限界の加速度300〜400galと、地動加速度1500galとの差を補うために、構造部材要素だけでは足りないので、以上述べた各種要素を動員して、有利に働く場合不利に働く場合もある要素を、有利な要素だけをみて(それでもまだ足りないが)「震度6強-7(境界:1500gal)まで倒壊等の被害が生じない」という、あってはならない非常に「危険側の考え方」になっていないか。
⇒ 【参考】
100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測 (4000gal観測も)
言うまでも無いことだが、「国民の生命と財産を守る」という国の耐震基準の考え方としては、本来の、
「安全側の考え方」に立ち返るべきであろう。そして、ギリギリで余裕の無い状態、というよりも不足している状態を一刻も早く解消すべきである。 ⇒
姉歯事件の問題
【参考】
100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測 (4000gal観測も)
1995年阪神・淡路大震災以降、以下のように、100kine以上、1000gal以上の地震動が多数観測されている。 政府中央防災会議から「地震はいつどこで発生してもおかしくない」と発表され、阪神・淡路大震災以降、現在までのところ、100kine
1000gaを超える強震動が、首都圏・中部圏・近畿圏で起こっていないことは、不幸中の幸いである。
 【1995年以降の強い地震動の加速度・速度・変位】 この表のデーターは、気象庁のデーター
、気象庁のデーターの内*印の付いた観測点は地方公共団体の設置した震度計のデーター、
K-NET、KiK-net((独)防災科学技術研究所)のデーターによっている。上記データーの、3成分の加速度データーのあるもののうち、震度の大きい順に抽出した。データーに速度・変位の記載が無い場合は、弊社が加速度時刻歴データーから算定している。加速度時刻歴データーの無い場合は速度・変位の算出は困難なので、空欄となっている。
この表の地震波の並び順は、地震ごとに、計測震度順で並べた。この表をクリックすると計測震度・震度、水平ニ方向の合成値を含んだPDFの表が参照可能である。
この表での赤字記載について、800gal以上・80kine以上・20cm以上は赤字とし、1000gal以上・100kine以上・40cm以上をさらに太字とした。
ここで、時期、時期で、1000gal以下、2000gal以下、4000gal以下しか観測されなかったのは、単に加速度型強震計の「測定可能範囲」による可能性がある。 すなわち、 「(独)防災科学技術研究所は2007年度末までに強震観測網(K-NET,
KiK-net)のほぼ全観測点において、地上設置型の加速度型強震計を測定可能範囲が、2000galのものから4000galのものへ換装」した。阪神・淡路大震災当時は測定可能範囲1000gal、その後、2000galに、そして4000galの時代に入った。
単に、それまでに、1000gal以下、2000gal以下、4000gal以下しか観測されていなかったのは、加速度型強震計の「測定可能範囲」の問題だった可能性がある。ちなみに、「震度」についても、阪神・淡路大震災後の1996年改定(1991年部分試行)までは、震度観測は体感(「体感震度」)で行われていたが、1996年改定後は、器械により観測される「計測震度」(計測震度は加速度波形から計算される)となった。以上のように、阪神・淡路大震災以降、地震計測に関して、大きく進歩したといえる。
■実効入力地震動からみても
★「実効的なもの」と「建物と地盤の相互作用」について
1998年建築基準法改正で2000年に施行された「限界耐力計算」では、「建物と地盤の相互作用」の入力損失効果を、一般建物の設計にも利用可能となった。
しかし、1997年版「建築物の構造規定」、2001年版、2007年版の「建築物の構造関係技術基準解説書」の説明で、阪神大震災では、800galが観測されているにもかかわらず、現行基準を、300〜400galでよいという話を、「地表面で観測された強震記録に比べて、建築物に作用する実効入力地震動は小さい」すなわち「建物と地盤の相互作用」による入力損失効果によって説明している。 そういう話なら、現行の「最大級の地震動」の加速度は、入力損失を既に考慮したものとなり、「限界耐力計算」での「相互作用」による入力損失計算は、二重の低減計算となり、大問題となる。
また、800galが、神戸海洋気象台周辺のような地盤の良い所では、「相互作用」で、300〜400galまで下がらない。また軽量の木造では「相互作用」による入力損失はそれほど期待できない。また増幅する場合もある。
⇒ 「相互作用」
ここで、「実効入力地震動」の「実効的」なるものの概念を考えると、 「建物と地盤の相互作用」による入力損失効果を持ち出すより(効果が無い場合、増幅する場合もあるので)、下記説明での「気象庁計測震度計算」のような、「建物への作用時間(継続時間)」という説明の方が良かったではないか。地震波のピークは
800galであったとしても、建物への作用時間を考えた「実効的」なものは、400galだったという説明の方が良かった。その方が気象庁震度との整合性がついた。
★実効入力地震動からみても 「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修気象庁)212頁の記載に従えば、 1996年に気象庁は、前年の兵庫県南部地震の現地調査の結果を見て、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った。
この説明に従えば、 ・1948年の福井地震の被災状況をみて、1949年に、家屋の倒壊が30%以上※となる(震度7相当の)地震加速度を400galとし、 ・1995年の阪神大震災の被災状況をみて、1996年に、家屋の倒壊が30%以上※となる(震度7相当の)地震加速度を、800gal(河角式の通り)まで引上げているので、 1996年改定段階で、実質2倍に引き上げたことになる。 (1981年に建築基準法改正で、在来木造の必要壁量を1950年段階の約2倍に上げているので、この話は対応する。)
・1949年に、実効的なものとして、400galとし、 ・1996年に、実効的なものとして(継続時間=「建物への作用時間」を考慮して)、800galとしたわけである。
1997年版「建築物の構造規定」、2001年版、2007年版の「建築物の構造関係技術基準解説書」の説明に従えば、「実効入力地震動」に相当し、
・実効入力地震動
400gal ⇒ 地表面地震動 800gal ・実効入力地震動 800gal ⇒ 地表面地震動 1500gal(内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より)
というようになる。
以上のことから考えても、1996年の気象庁震度階改定で、2倍程度差が生じている。 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」 とする限りは、2倍程度、標準せん断力係数を上げざるを得なくなるのである。
※ 「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:鰍ャょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)8頁、「昭和24(1949)年〜平成8(1996年)地震津波業務規則 別表第4付表」の「階級Z」の説明「激震。家屋の倒壊が30パーセント以上に及び」とある。
■震度を「速度」で換算して考えてみても
以上の話は、現行の気象庁震度階の震度計算における「加速度基準」に従って論を進めてきた。 しかし、現行の気象庁震度階には、後述のような「計測震度計算プログラムのローカットフィルター問題」があるので、中央防災会議の全壊率テーブル等にしたがって、震度を「速度」で換算して考えてみることにした。
内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」から、
| 震度 |
4 | 5弱 |
5強 | 6弱 |
6強 | 7 |
最大速度(kine) | 4〜10 |
10〜20 | 20〜40 |
40〜60 |
60〜100 | 100〜 |
となる。
現行建築基準法の「耐震基準」の、倒壊等の被害を生じない「安全限界」の地震動の速度は、40kine※である。 (この表から見ても、現行「耐震基準」は、「5強〜6弱」である。前述の時刻歴応答解析結果と合致する。)
それに対して、震度7は、100kine以上である。
また、全壊率は、「加速度」よりも「速度」の方が、より相関していることは、「全壊率の指標」の通りである。
以上のことからも、建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とする限り、速度においても2倍以上乖離しているので、2倍程度、標準せん断力係数を上げざるを得ないのである。
この「速度基準」での説明の方が、気象庁の現行震度階の「加速度基準」による問題に煩わされずに、現行建築基準法の「耐震基準」の問題を明瞭にすることができる。
※出典は、以下の文献である。 ・「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定−確率論から考えても」渡部丹
37-3、145頁、公共建築、1995年 ・「設計用模擬地震動に関する研究」渡部丹 建築研究報告No.92,March1981,建設省建築研究所 ⇒
詳細説明
また、倒壊等の被害を生じない「安全限界」の地震動の加速度
300〜400galを、内閣府「地震被害想定支援マニュアル」の表からみても、20〜40galゾーンに入り、40kineの値は大きめであるが、決して小さくは無い。
|
震度 |
4 |
5弱 |
5強 |
6弱 |
6強 |
7 | 最大速度(kine) | 4〜10 |
10〜20 |
20〜40 |
40〜60 |
60〜100 |
100〜 | 最大加速度(gal) | 100 240
520 830 1100 1500 |
■震度6強〜震度7程度でも倒壊しないためには「耐震基準」を改定すべきである
1996年に、気象庁が、前年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の現地調査の結果を見て、震度7の説明文の内容とほぼ一致するように※a、すなわち、家屋の倒壊が30%以上になるように※a2、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った(800〜1500gal※b)。 ⇒
説明1 2 その時点で(それ以降も)耐震基準の改定を行わなかったので、「現行の耐震基準」と矛盾することになってしまった。
その結果、建築基準法通り、もしくはそれ以上の設計での、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の建物が、実大実験で、ことごとく、震度6強の地震動で倒壊した。
結局、建築基準法の耐震基準が「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としている限り、「安全限界」の加速度(300〜400gal)も、同等(800〜1500gal※b)に改定すべきである。
※a 「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:鰍ャょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)の212頁、「兵庫県南部地震の現地調査の結果、(中略)震度7を計測震度6.5以上と定義すれば、対応する現象が現在の震度7の説明文の内容とほぼ一致すると考えられる。」と記載。
※a2 「対応する現象が現在の震度7の説明文の内容」については、同書「震度を知る−基礎知識とその活用」の8頁、「昭和24(1949)年〜平成8(1996年)地震津波業務規則 別表第4付表」の「階級Z」の説明「激震。家屋の倒壊が30パーセント以上に及び」とある。
※b 800galといっても、800galが数秒間継続という条件がつくので、実質の加速度は大きくなり、内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」では、震度6強と7の境界加速度を1500gal程度となる。
【参考】
「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」について
「耐震基準」の解説書である、住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書※」では、
「建築物が倒壊・崩壊しない地震力」について、
・1981年6月の「新耐震基準」施行以降、1997年版まで内容は、 「地動の最大加速度で約300gal
から400gal 程度で、気象庁震度階の震度6強〜7程度である。」 という形で一貫している。 ・2001年版でも、「震度6強〜7程度」と記載 ・2007年版になって、2001年版と実質的内容は同じであるが、「震度6強〜7程度」の記載だけがなくなった。しかし、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」のように、関連図書・HPでは未だに「震度6強〜7程度」の記載が残っている。
⇒ 【参考】
住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」等
※本書は住宅局建築指導課監修による建築物の構造関係技術基準解説書で、1994年〜1997年は「建築物の構造規定」という名称、それ以前は「構造計算指針・同解説」(1981年「新耐震基準」施行以降)という名称であった。
【参考】 住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」等
気象庁震度階改定の1996年以降の、住宅局建築指導課監修(編集)の「建築物の構造関係技術基準解説書」(本書は住宅局建築指導課監修(編集)による建築物の構造関係技術基準解説書で、1994年〜1997年は「建築物の構造規定」という名称、それ以前は「構造計算指針・同解説」(1981年「新耐震基準」施行以降)という名称であった)は、以下の3冊である。
「建築物が倒壊・崩壊しない地震力」について、 ・1981年6月の「新耐震基準」施行以降、1997年版まで内容は、 「地動の最大加速度で約300gal
から400gal 程度で、気象庁震度階の震度6強〜7程度である。」 という形で一貫している。 ・2001年版でも、「震度6強〜7程度」と記載 ・2007年版になって、2001年版と実質的内容は同じであるが、「震度6強〜7程度」の記載だけがなくなった。しかし、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」のように、関連図書・HPでは未だに「震度6強〜7程度」の記載が残っている。
★1997年版の建設省住宅局建築指導課監修「建築物の構造規定」から
2.3
耐震性 2.3.1 設計用地震力 建築基準法施行令では、耐震計算のための地震力の大きさとして2段階のものを考えることとしている。まず、耐用年限中に数度は遭遇する程度の地震(中地震動)に対しては、建築物の機能を保持することとする。また、建築物の耐用年限中に一度遭遇するかもしれない程度の地震(大地震動)に対し、建築物の架構に部分的なひび割れ等の損傷が生じても、最終的に崩壊からの人命の保護を図る。
中地震動程度の地震力としては、気象庁震度階の震度5強程度を考え、建築物の全体に作用する水平力として標準せん断力係数0.2以上、すなわちC0=0.2以上を採用している(木造建築物にあっては、地盤が著しく軟弱な区域内ではC0=0.3以上)。この水平力を生じさせる地震動の強さは、地動の最大加速度にして80〜100gal程度である。昭和56年5月まで用いられてきた建築基準法・同施行令でいう水平震度0.2以上に対し許容応力度設計するという耐震設計法は、約半世紀の歴史を持ち、通常の多くの建築物についてはこの方法で設計しておけば、計算外の余力が十分にあって、大地震に対しても崩壊しないという経験を持っている。
大地震動時の地震力としては、関東大震災級の地動を想定していると考えてよい。その強さは、地動の最大加速度で約300gal
から400gal 程度で、気象庁震度階の震度6強〜7程度である。 入力地震波の最大加速度と建築物の応答加速度とは、建築物の動的な構造特性を示す要因の一つである1次固有周期により結びつけられていて、建築基準法令で想定されているような建築物の範囲では、建築物が弾性挙動をすれば、建築物の最大応答加速度は、入力地震波の最大加速度のおおむね2.5倍から3倍の値となる。この値は、建築物の一次固有周期が長くなるにつれて、小さくなっていく性質のものである。この議論によれば、おおよそ300から400gal程度の地震動に対し、建築物が弾性挙動をするとすれば、その建築物の最大応答加速度は、おおむね1000galとなる。これを力に直すと、建築物の重量と同じ大きさの力((1G=980gal)による力)が水平にかかることになる。大地震動に対する耐震性のチェックの場合の水平力の大きさは、この1Gを基本に考えている(C0=1.0以上)。しかし、このように大きな水平力に対し、必ずしも建築物を弾性設計しなければならないというものではない。建築物に靭性があれば部分的に破損(ひび割れや降伏)してもすぐには崩壊しないことから、これに期待して設計することができる。(1997年版の建設省住宅局建築指導課監修「建築物の構造規定」16〜17頁)
この後、1998年に建築基準法の改正(2000年施行)があったが、この部分は改正されていない。 ただし、1997年版と2001年版以降とでは
・耐用年限中に一度遭遇するかもしれない程度の地震(大地震動) ⇒ 「最大級の荷重・外力(極めて稀に発生する荷重・外力)」 ・耐用年限中に数度は遭遇する程度の地震(中地震動)
⇒ 「中程度の荷重・外力(稀に発生する荷重・外力)」 の用語の変更があった。
また、説明の加筆としては、 ・中程度の荷重・外力時:「標準せん断力係数0.2以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」 ・最大級の荷重・外力時:「標準せん断力係数1.0以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」
の定義が加わった。 以下に説明する。
★2001年版の国土交通省住宅局建築指導課等編集「建築物の構造関係技術基準解説書」から
・建築物が倒壊・崩壊しない「最大級の荷重・外力(極めて稀に発生する荷重・外力)」として 「震度6強〜7程度を想定(具体的には、標準層せん断力係数1.0以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力)」(48頁)
・構造耐力上主要な部分に損傷が生じない「中程度の荷重・外力(稀に発生する荷重・外力)」として
「震度5強程度を想定(具体的には、標準層せん断力係数0.2以上(地盤が軟弱な地域に木造を建てる場合は0.3以上)又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力)」(48頁)
となっている。
★2007年版の国土交通省住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」から
・建築物が倒壊・崩壊しない「最大級の荷重・外力(極めて稀に発生する荷重・外力)」として 「震度6強〜7程度を想定」の記載が抹消されており、
「標準せん断力係数1.0以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」(49頁)
・構造耐力上主要な部分に損傷が生じない「中程度の荷重・外力(稀に発生する荷重・外力)」として 「震度5強程度を想定」の記載が抹消されており、
「標準せん断力係数0.2以上(地盤が軟弱な地域に木造を建てる場合は0.3以上)又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」(49頁)
となっている。
【参考】「設計用地震力の評価」について/住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」等から
「設計用地震力の評価」について、「建物と地盤の相互作用」と関係があるので、記載する。前記説明の1997年版、2001年版ともに、ほぼ同文であるので、2007年版の「建築物の構造関係技術基準解説書」だけを掲載する。
★2007年版の国土交通省住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」から
(参考)設計用地震力の評価 平成7年1月17日の兵庫県南部地震は我が国の地震観測史上最大級の地震動記録を残した地震であるが、 (中略) 同地震に際しては、地表面で800gal程度の大きな地震動の最大加速度が観測されているが、一般に、地表面で観測された強震記録に比べて、建築物に作用する実効入力地震動は小さいことから、実際に建築物に作用した地震動はこれよりも小さいと考えられる。同地震においても、神戸市中央区、長田区の建築物の下層又は最下層の床で観測された最大加速度は300〜350galに留まっていることを考慮すれば、建築物に作用した地震力は標準せん断力係数換算で、ほぼ1.0かこれを数割うわまわった程度と考えられる。すなわち、同地震により建築物に作用した地震力は、激震地においても、建築基準法令で規定する地震力の最低値と同じか、やや上回る程度のレベルであったと推定される。 しかし、実際の建築物では計算上考慮していない部材が力を負担すること、一般に不静定次数が高いこと、すなわち、一部の部材の破壊がただちに建築物全体の崩壊につながる危険性が低いこと等から、建築物全体としては計算以上の余力があるために、昭和56年以降の耐震基準により適切に設計・施工された建築物は大きな被害を受けなかったものと思われる。したがって、最低基準としての建築基準法令の地震力レベルは、概ね妥当なものであったと考えられる。 なお、上下動については、設計用地震力を定めていないが、同地震の上下動記録を用いたいくつかの地震応答解析結果では、建築物全体の挙動に及ぼす影響は小さいという結果が得られている。
【参考】
震度=加速度基準での混乱
震度6弱から全壊が始まっているが、震度6強でも倒壊の少ない地震があるのは、現行の気象庁震度階が、「加速度」をベースに計算を行っているゆえの問題である。同じ加速度であれば、変位・速度の差がそれほど震度に反映されない問題である。
・加速度(震度)が大きくても、短周期(変位が小さい)の地震の場合は、地震被害がそれほどで発生しない。
・加速度(震度)が大きくて、変位がそれなりに大きいと、地震被害が出る。 地盤周期の長い、地盤の良くない場所で起こると、かなりの地震被害が出る。
地震が頻発しているが、現在のところ、首都圏、中部・近畿圏で、M6弱以上の大地震が起こっていない。 このような大都市圏では、軟弱地盤に住宅地が広がり、多くの人が住んでいる。
それを念頭に考えるべきである。
★加速度(震度)が大きくても地震被害の少ない地震について 加速度(震度)が大きくても、地震被害の少ない地震は、変位が小さい地震、短周期成分が主成分の地震である。
⇒ 参考論文1「地震動と建物等の被害」 参考論文2「短周期・大加速度地震動と建物等の被害」
 【加速度(震度)が大きい割に変位の小さい代表的地震動=地震被害の少ない地震動】
 【震度がほぼ同じで変位の大きさがまったく違う地震動】 上表のように、震度がほぼ同じ(6.2と6.1)で、変位がまったく違う(66.2cmと3.8cm)地震動が存在する。加速度は、平成19年新潟県中越沖地震の方が約半分と小さいにもかかわらず、全壊棟数は、観測点のある柏崎市だけで1000棟以上であり、平成15年宮城県沖の地震の方は、全国でも僅か2棟である。
★加速度(震度)が小さくて地震被害の大きい地震について 加速度(震度)が比較的小さくても、地震被害の大きい地震は、変位が大きい地震、中・長周期成分が主成分の地震である。
 【震度と全壊率が逆転した地震動】 上表は、震度の小さい方が、全壊率が大きい地震動の比較である(震度5.8:
11.1%、震度6.1: 0%/1982年以降の木造(「新耐震」)全壊率)。加速度は震度が大きいほうがはるかに大きい(震度5.8: 490gal、震度6.1:
1566gal/水平成分合成)、しかし変位がまったく違う(震度5.8: 80.1cm、震度6.1: 3.8cm/水平成分合成)。
★阪神大震災の場合
・神戸海洋気象台等の地盤の良い所では、加速度(震度)が大きくても、それほど周期が長くない(変位もそれほど大きくない)ので、倒壊等の被害がそれほど発生していない。
・JR鷹取駅周辺等の地盤の良くない所では、上記神戸海洋気象台観測波ほどの加速度ではないが、変位が大きいので、倒壊等の被害がかなり発生している。
★全壊率の指標 ( 加速度+変位 ⇒ 「速度」) 「加速度」より、「速度」の方が、全壊率(倒壊率)との、相関性が高い。
「一定以上の(応答)加速度と一定以上の(応答)変位に到達すると倒壊が始まる。」 ので、 「全壊率(倒壊率)は、「(応答)加速度+(応答)変位」との、相関性が高い。」 が正しいと考えられる。
(応答)と書くことによって「周期=共振」概念も加味できる。
つまり、 「全壊率(倒壊率)は、「加速度+変位」との、相関性が高い。」
このことをアバウト(加速度+変位のアバウトな合成指標)に表現すれば 「全壊率(倒壊率)は、「速度」との相関性が高い。」 ということになる。
【参考】
「気象庁震度階級関連解説表」の震度7解説の問題
2009年3月31日に改定になった「気象庁震度階級関連解説表」では、 木造建物(住宅)で、「耐震性が高い」(昭和57年以降の「新耐震」を想定)ものは、 震度7の解説において、「壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。まれに傾くことがある。」 となっている。
しかし、 気象庁の震度階改定(1996年)以降、唯一、震度7が観測されたのが、 2004年新潟県中越地震での、気象庁川口だけである。 それも、計測震度6.5、震度7ぎりぎりである。 それにもかかわらず、 「新耐震」の木造の全壊率は、約20% である。(「震度に関する検討会
報告書(平成21年3月)」の、1−45頁の、計測震度6.5の、川口での、昭和57年(1982年)以降の木造では、全壊19.4%、半壊以上71.6%となっている。)
また、上記「震度に関する検討会
報告書」では、震度6弱から、新耐震基準の建物の全壊が始まる。 この「震度に関する検討会
報告書」の1-45頁以降において、新耐震木造の全壊率は、 ・平成19年新潟県中越沖地震の刈羽村割町新田、震度6弱(計測震度6.0また5.8(IAU計算))で
全壊率 11.1% ・平成15年宮城県北部地震の前谷地、震度6弱(計測震度5.7)で
全壊率 9.5%
この「震度に関する検討会
報告書」から、2003年7月26日宮城県北部の地震以降の、新耐震木造で全壊被害があった地震動を整理したものが以下の表である。
【参考】 気象庁計測震度計算プログラムのローカットフィルターの問題点について 周期1.6秒を超えると、震度7の地震動が、震度6強(弱)にランクダウン
(1)
現行の震度階が地震被害との関係において合わないということが多く報告されている。 その最大の理由のひとつは、長周期成分をもった(速度・変位の大きい)地震波の、震度の過小評価である。
具体的に言えば、1.6秒以上の成分に関して震度が過小評価されており、同じ加速度でも、1.6秒以上の成分によって速度・変位の大きくなる地震波ほど計測震度が下がるという問題である(検討委員会では「プラスの補正を行う」となっているので、全く逆である)。
現行の気象庁震度階の計算において 地震波の周期による影響を補正するフィルター 図3:震度計算のためのフィルター特性
の1.6秒からのローカットフィルター(長周期側のカットフィルター)が問題である。 図3:周期および加速度と震度(理論値)の関係(上記※3も参考)
⇒ フィルター処理整理 そのため、上グラフの1.6秒より右側が半転し、1.6秒以上の長周期成分をもった地震波の方が過小評価されている(計測震度が小さくなる)。
例えば、800galの1.6秒より、800galの2秒の方が、さらに800galの3秒の方が、計測震度が小さくなる。 気象庁計測震度プログラムに基づけば、
300gal正弦波 継続時間20秒の場合 ・周期 1.6秒(変位 19cm、速度 76cm/s)で、計測震度
5.9 (5.95) 震度6弱 ・周期 2.0秒(変位 30cm、速度 95cm/s)で、計測震度
5.7 (5.79) 震度6弱 ・周期 2.5秒(変位 47cm、速度 119cm/s)で、計測震度 5.5 (5.51) 震度6弱 ・周期 3.0秒(変位 68cm、速度
143cm/s)で、計測震度 5.2 (5.24) 震度5強 400gal正弦波
継続時間20秒の場合 ・周期 1.6秒(変位 26cm、速度
102cm/s)で、計測震度 6.2 (6.20) 震度6強 ・周期
2.0秒(変位 41cm、速度 127cm/s)で、計測震度 6.0 (6.04) 震度6強 ・周期 2.5秒(変位 63cm、速度 159cm/s)で、計測震度
5.7 (5.76) 震度6弱 ・周期 3.0秒(変位 91cm、速度
191cm/s)で、計測震度 5.5 (5.50) 震度6弱・5強境界
600gal正弦波 継続時間20秒の場合 ・周期 1.6秒(変位 39cm、速度
153cm/s)で、計測震度 6.5
(6.55) 震度7 ・周期 2.0秒(変位 61cm、速度 191cm/s)で、計測震度
6.3
(6.39) 震度6強 ・周期 2.5秒(変位 95cm、速度 239cm/s)で、計測震度 6.1
(6.11) 震度6強 ・周期 3.0秒(変位 137cm、速度 286cm/s)で、計測震度
5.8
(5.85) 震度6弱 (200cm/s以上は現実的でないと考え、800gal正弦波の場合は割愛しているが、震度7が震度6強に下がっている。) となる。
震度7より、はるかに速度・変位が大きい破壊力※のある地震動の方が、震度6弱になったり等する。
これは明らかにおかしい(※共振を別にすれば、同じ加速度では変位が大きい方が破壊力がある)。
そこで、1.6秒からのローカットフィルター(長周期側のカットフィルター)を掛けない形にしたものが、 図3:周期および加速度と震度(理論値)の関係 ⇒
フィルター処理整理 となる。
これに基づいて計算すると、長周期成分のある地震波の方が震度が大きくなり、例えば、JR鷹取波は、現状の計測震度は、6.4(6.409)で震度6強であるが、計測震度 6.5(6.59) 震度7になり、葺合も、現状震度6強であるが、計測震度 6.5(6.59) 震度7になる。 ただし、これでは限りなく下がりすぎるので、現行の建築基準法の耐震基準ギリギリの建物が全壊(倒壊)する加速度で下げ止まりにする必要がある。
●フィルター処理整理 ちなみにローカットフィルター、ハイカットフィルターも両方無い場合の図3は、 周期および加速度と震度(理論値)の関係
となる。 ただこの場合でも、短周期側に震度値のマイナス補正、長周期側に震度値のプラス補正がされている。 現行の震度階は、ローカットフィルターによって、「長周期側に震度値のプラス補正」を無効にするだけ無く、さらにマイナスにしている。 全てのフィルター処理を整理すると、
(1)
全てのフィルターを掛けない場合 = 「河角の式( I=2×log(a)+0.7)」
(2)
(1)に、短周期側にマイナス補正、長周期側にプラス補正した場合 = 「 I=2×log(a)+0.7+log(k・t)」
(3)
(2)に、ハイカットフィルターを掛けた場合 = ローカットフィルター無しのもの
(4)
(3)に、ローカットフィルターを掛けた場合 = 現行
となる。
●1988年〜1995年の気象庁の検討(委員)会の経緯 そのため、計測震度算出における長周期成分の取り扱いについての、気象庁の委員会の経緯を調べてみた。調べた限りでは、以下の通りである。
★1988年の震度観測検討委員会では、長周期成分をプラス補正する方向で検討 震度観測のあり方について検討するため、昭和60年に設けられていた、震度観測検討委員会は、 1988年(昭和63年)2月に「震度観測検討委員会報告書」を発表し、震度と加速度の関係式について、 「これは河角による震度と加速度の関係式において地震動の人体等に対する影響を考慮し、短周期側では震度を小さく長周期側では大きくするような補正を行ったものに相当する。」(文献1
193頁) また、その「解説資料」では、長周期側の震度の補正について、 「周期の長い場合には、速度や変位振幅がかなり大きくなり、同一加速度ではあっても揺れの程度としては強く感じられると思われる。このような場合は、震度を大きくする補正が必要と考えられる。」(文献1
201頁) 「長周期側t2では、河角式により加速度から換算される震度値にプラスの補正を行う。」(文献1
202頁) との記載がある。 以上のように、「震度観測検討委員会」は、長周期成分の影響を重視し、プラスの補正を行う方向で考えていたことが分かる。
★1995年の震度問題検討会も、震度観測検討委員会の考え方を継承 兵庫県南部地震の後に、震度観測の計測化・速報化を目的として、震度問題検討会が設けられ、 1995年(平成7年)7月5日に「震度問題検討会検討結果中間報告」、11月29日に「震度問題検討会検討結果最終報告」を発表した。 この「震度問題検討会検討結果中間報告」の中で、震度についての考え方を整理し、 「(2)(中略)
イ)建物被害との相関を考慮して、震度算出に用いる地震動の周期の範囲を従来より長周期側へ拡げる。(後略)」(文献1 210頁) としている。 また「震度問題検討会検討結果最終報告」では、「震度観測検討委員会報告書」の内容を継承し、さらに、その処理方法について、 「しかし、実際にこの式を適用して震度を計算する際には、周期の決定に任意性が残るため、単純に最大加速度とその周期を式(2)に代入するのではなく、次項に述べるように、地震動全体を周波数領域でフィルター処理する方法を採用した。」(文献1
221頁) としている。
★1995年11月29日の「震度問題検討会検討結果最終報告」では、依然同内容が記載されているが、計測震度算出の具体的な作業手順では、全く逆の内容となっている。 すなわち、「震度問題検討会検討結果最終報告」の「計測震度の算出方法」において、使用することになっているフィルターは、
ア)式(2)の周期に関係した項に対応するフィルター イ)ハイカットフィルター ウ)ローカットフィルター の3種類であり、図1フィルターの総合特性(文献1
224頁)から明らかなように、長周期側の成分は、「プラスの補正」ではなく、逆に低減されてしまっている。
★ローカットフィルターについて ローカットフィルターについて整理すると、文献1の1988年1995年両検討(委員)会の報告書の中にはその解説が無く、式が突然出てくるのみである。 1988年の震度観測検討委員会段階から、ローカットフィルターの式が同書47頁にあがっているが、しかし、26頁の「人間の感覚は周期の短い振動を感じにくい。」でハイカットフィルターの説明はあるが、ローカットフィルターを掛ける説明はない。
さらに、27頁の図1.4.4の「等感度曲線」でも、水平振動の場合では、長周期側は水平のため、ローカットフィルターを掛ける根拠になっていない(1988年当時の震度階では「水平動」に限定している。
また、1995年以降の改定震度階でも、図1.4.4の「等感度曲線」を根拠にするなら、上下動にのみローカットフィルターは掛けるべきであろう)。 以上のことから、 「周期の長い場合には、速度や変位振幅がかなり大きくなり、同一加速度ではあっても揺れの程度としては強く感じられると思われる。このような場合は、震度を大きくする補正が必要と考えられる。」(同書201頁) 「長周期側t2では、河角式により加速度から換算される震度値にプラスの補正を行う。」(同書202頁) を無効にするような、ローカットフィルターを掛ける根拠の説明が全くない。
文献1: 「震度を知る−基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:鰍ャょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)
【参考】 気象庁計測震度計算プログラムのローカットフィルターの問題点について 周期1.6秒を超えると、震度7の地震動が、震度6強(弱)にランクダウン
(2)
以上の気象庁計測震度計算プログラムのローカットフィルターのため、1.6秒を超えると、震度7の地震動が存在困難(観測困難)となってくる。 そのため、 非常に破壊力のある変位・速度の大きい地震動が、震度6強(6弱)にランクダウンする。
★正弦波(継続時間1分)で考えてみると、
・1.6秒を超える地震動では、速度150kine以下では、震度7の地震動が存在できなくなる。
・速度170kine以下では、変位50cm以上の震度7の地震動も存在できなくなる。 地震動としては、速度180kineくらいが限度と考えると、ほとんど存在できないことになる。
【正弦波(速度別、継続時間60秒)の周期−計測震度】
【正弦波(速度別、継続時間60秒)の変位−計測震度】
上記の、速度基準で作成した正弦波と計測震度のグラフでは、周期が長くなるに従い、計測震度が直線的に下がっていく様子がわかる。速度150kine以下では、1.6秒を超えると震度7の地震動が存在できなくなってくる。
★ランダム波(継続時間1分以上(81.92秒))で考えてみても、 詳細PDFの通り、 ・1.6〜3.2秒成分のみの地震動作成では、速度200kine以下で震度7は存在しない。 ・1.6〜2.4秒成分のみの地震動作成では、速度180kine以下で震度7は存在しない。 ・1.6〜2.0秒成分のみの地震動作成では、速度150kine以下で震度7は存在しない。 よって、
・1.6秒以上の成分のみの地震動では、震度7の地震動が存在困難(観測困難)となる。
★理由は、上記説明の気象庁の計測震度プログラムの、周期1.6秒以降に掛けられている相当にきついローカットフィルターのために、より破壊力のある変位・速度の大きい地震動ほど、震度7にならず、震度6強(6弱)にランクダウンしてしまうからである。そのため、非常に破壊力のある、変位・速度の大きい震度7は、存在できず、観測されにくくなっている。
★上記の、震度6強と7との境界加速度が、400galから800〜1500gal程度に上がった問題に加えて、非常に破壊力のある変位・速度の大きい地震動ほど、震度7にならず、震度6強(6弱)にランクダウンされる。
以上のことからも、「震度6強〜7まで倒壊しない」という一般認識が、未だ残っていることは非常に問題であり、国民の生命と安全を守る上で、一刻も早く否定しておくべきものである。
【参考】 中央防災会議の全壊率について
(気象庁計測震度計算プログラムのローカットフィルター無考慮のため、全壊率は上がることになる)
政府中央防災会議の被害想定での、 建物全壊棟数の根拠が「計測震度と全壊率のグラフ」
例えば、中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」(第31回)
9頁の「計測震度と全壊率のグラフ」 によっていますが、この横軸の計測震度の、1995年兵庫県南部地震の西宮市のデータ(最も多いプロット)に関しては、実際の計測震度ではなく、建物被害からの推定で、それも単純な式で算出している(山崎文雄教授、中央防災会議に確認済み)。 そのため、現状の計測震度計算プログラムのローカットフィルターが掛かっていないものになっている。 1.6秒を超える成分を多く持った(速度が大きい、建物破壊力のある)地震動は、計測震度が下がる補正がなされていないものである。 ローカットフィルターかける前では、震度7の、JR鷹取(計測震度
6.5(6.59))、葺合(計測震度 6.5(6.59))というような、非常に破壊力のある地震波が、震度6強(鷹取・葺合ともに計測震度 6.4)に下がってしまう補正がなされていないということである。 そのため、正しい気象庁計測震度で考えれば、上記「計測震度と全壊率のグラフ」の震度7は、震度6強以下にランクダウンしてみるべきものである。 そのため、本来の震度7相当の破壊力あるものが、震度6強以下にランクダウンしてくるので、震度6強の全壊率が、非常に上がることになる。 また同様に、震度7相当だけでなく、(破壊力のある)速度・変位の大きい地震動においては、震度6強相当のものが6弱に、震度6弱相当のものが5強にランクダウンしてくるので、それらの建物被害率は上がることになる(以上のことは中央防災会議に確認済み)。
詳細に説明すると、 まず、中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」(第31回) 9頁の「計測震度と全壊率のグラフ」の、横軸の計測震度は、ほとんどが「建物被害が発生する確率」からの推定である。
 【計測震度と全壊率のグラフ(木造建物)】
この「計測震度と全壊率のグラフ」の説明は、初掲載の中央防災会議 東海地震対策専門調査会(第4回)が一番詳しい。その後、これを踏襲している(中央防災会議に確認)。 東海地震対策専門調査会(第4回)の30頁の次の次の頁(画面上の9頁)である。 上記グラフの大勢を占める、1995年兵庫県南部地震の西宮市のプロットは、全て、「建物被害が発生する確率」からの推定である。
具体的には、 ・山口直也,山崎文雄:詳細な建物情報を含む被災度調査結果に基づく西宮市の地震動分布の再推定
2000.1 の208頁の式(4)の、 PR(I)=Φ((I−λ)/ζ) である。Pは「被害が発生する確率」、Iは「計測震度」である。 この式を用いて、西宮市の建物被害状況⇒「被害が発生する確率」から「計測震度」が算出され、そのため、このグラフの大勢を占める、1995年兵庫県南部地震の西宮市のプロットは、全て、建物被害確率からの推定である(山崎文雄教授、中央防災会議に確認済み)。 また、この式は、単純な式であるから、現状の計測震度計算の、長周期側の相当にきついローカットフィルターが全く掛かっていないものになっている(実際には地震波を作らない限り、フィルターは掛かけられない。そのことを、山崎文雄教授、中央防災会議に確認済み)。 1.6秒を超える成分を多く持った、建物破壊力を持った、速度・変位が大きい地震動は、計測震度が下がる補正がなされていないことになる。 そのため、正しい気象庁計測震度で考えれば、上記「計測震度と全壊率のグラフ」の震度7は、建物破壊力を持った速度・変位が大きい地震動ほど、軒並み震度6強以下にランクダウンしてしまうことになる。
例えば、継続時間1分以上(81.92秒)のランダム波で考えてみると、1.6秒を超える成分のみの地震動では、速度200kine以下では、震度7の地震動が存在困難(観測困難)となる(詳細内容)。
この話は、2009年10月27日の、建築基準法の1.44倍の耐力の建物を倒壊させた地震動が、最大加速度947gal、最大速度162kine、最大振幅93cm
という驚異的なものにもかかわらず、震度6強であることに、最も特徴的に明示されている(実験説明
倒壊映像)。
【参考】
阪神・淡路大震災建物被害率について
【報告書】 ・阪神大震災被害状況調査報告書((財)建設工学研究所) ・平成7年 阪神・淡路大震災 建築震災調査委員会中間報告(建築震災調査委員会) ・平成7年兵庫県南部地震被害調査最終報告書(建設省建築研究所)※
※この報告書の全壊率について、下記の「山口直也,山崎文雄:1995年兵庫県南部地震の建物被害率による地震動分布の推定1999.1」によれば、
「建築研究所の被害率は(西宮)市の被害率の3分の1ほどになっており、この範囲では回帰直線の勾配はおよそ0.3であった。同様の検討を周辺の自治体について行ったところ、回帰曲線の勾配は0.3〜0.6の範囲にあり」
とある通り、この報告書の「全壊率」は、自治体の調査に比べてかなり小さめの値になっている。
【分析/上記の中央防災会議の「計測震度と全壊率のグラフ」
に関わる論文※等】 1.山口直也,山崎文雄:1995年兵庫県南部地震の建物被害率による地震動分布の推定
1999.1 2.山口直也,山崎文雄:詳細な建物情報を含む被災度調査結果に基づく西宮市の地震動分布の再推定
2000.1※ 3.山口直也,山崎文雄:西宮市の被災度調査結果に基づく建物被害関数の構築
2000.11 4.村尾修,山崎文雄:構造・建築年を考慮した建物被害データに基づく灘区の地震動分布の再推定
1999.9 5.村尾修,山崎文雄:自治体の被害調査結果に基づく兵庫県南部地震の建物被害関数
2000.1
【参考】 新耐震(1982年以降)の木造全壊率について
(改定震度階でみると)
★阪神・淡路大震災の場合 一般に流布している阪神・淡路大震災の震度は、1996年改定前の旧震度階のものである 強震記録に基づき、1996年改定の震度階で計算しなおすと、震度7は存在せず、全て震度6強までの震度となる。 そのため、震度6強までの震度での、新耐震(1982年以降に建てられた)の木造の全壊率は、以下の通りである。 【区単位でみると】 全壊数の多い順では長田区(15,521棟)、東灘区(13,687棟)に次いで灘区(12,757棟)である。 ・灘区(臨海・山麓地域以外)では、18.9%である。 出典:村尾修,山崎文雄:構造・建築年を考慮した建物被害データに基づく灘区の地震動分布の再推定
1999.9 の143頁の表1の「灘区の対象地域内(臨海・山麓地域以外)の建物被害棟数」 1982−94年、計2031棟に対して全壊棟数384棟、 であるので、新耐震(1982年以降に建てられた)の木造の全壊率は
18.9%である。 【地区単位でみると】 ・東灘区の森南1〜3丁目、本庄町1・2丁目、本山中町1〜4丁目、田中町1・2丁目では、下記報告書では100%近いと記載されている。 出典:阪神大震災被害状況調査報告書
127頁((財)建設工学研究所)
このように、直下型の断層地震の場合は、特に震度6強エリアは非常に小さいため、区単位ではなく、もっと小さいエリアでの「全壊率」の方が精度は高くなる
(建物での震度がわかっているピンポイント的調査が正確であるが、震度計がおかれている建物は非常に少なく、そうなると実物大実験が最も正確なものとなる。実物大実験でないと、「震度と建物の破壊関係」の本当のところはわからないといえる)。
★1996年気象庁震度階改定以降 震度6弱での、新耐震(1982年以降に建てられた)の木造の全壊率は、例えば、 ・平成15年宮城県北部地震の前谷地の震度6弱(計測震度5.7)では 全壊率
9.5% ・平成19年新潟県中越沖地震の刈羽村割町新田の震度6弱-強境界(計測震度6.0または5.8)では 全壊率
11.1% である。 出典:気象庁「震度に関する検討会 報告書」(平成21年3月) 第1章
計測震度と被害等との関係について
【参考】
「全壊」と「倒壊」について
★気象庁「震度に関する検討会
報告書」(平成21年3月)「第1章
計測震度と被害等との関係について」より (1-1〜2頁(同文 1-28頁)の「3)計測震度と被害との関係は、次のとおりに整理される。」より)
@計測震度は罹災証明による全壊率との相関は比較的良い *罹災証明の「全壊」は、住家全部あるいは一部の階が倒壊するものに加え、住家の主要構造物の被害額が住家の時価50%以上のものを含んでいる。このことから、罹災証明の「全壊」は、「建物が倒れる」ものだけでなく、「建物が傾く」などの被害も含む。 A負傷者と全壊数との相関は比較的良い 全壊数は、内閣府による地震の被害推定の際に死者数の算定に用いられるなどしている。また、負傷者数との相関も良いことが分かった。
⇒ 1-31〜32参照 B計測震度を、防災の初動対応の指標として用いることに、大きな問題はない計測震度は、倒壊などの建物被害との相関でみると計測震度は不十分な面があるが、全壊率との相関は高く、全壊数が負傷者数、死者数と関係することから、防災の初動対応に用いる指標として、大きな問題はないと考える。
倒壊など重大な建物被害と計測震度の相関は必ずしも良くない。境指標、清野指標など重大な建物被害にも対応する指標が提案されているが、まだデータが十分ではない。今後も重大な建物被害と関係する指標の調査・検討を続ける必要がある。 なお、それまでの間、顕著な地震発生時には、地震の特徴や各地の揺れの特徴を示すためのものとして、気象庁は、報道発表の機会などを活用して地震波の特徴などについても、速やかに社会に示すことが重要である。
【参考】
「耐震性不十分な戸数」について
政府中央防災会議「建築物の耐震化緊急対策方針」の2005年に、国土交通省において「住宅・建築物の地震防災推進会議」が設けられた。 その「住宅・建築物の地震防災推進会議」の資料に基づくと、我が国の住宅については総数約4,700万戸のうち約1,150万戸(約25%)、建築物については総数約340万棟のうち約120万棟(約35%)、特に戸建木造住宅については総数約2,450万戸のうち約1,000万戸(約40%)が耐震性不十分と推計される、となっている。 しかし、この数値は、「震度6弱程度で耐震性を満たすとする」場合である。
■地震非常事態というべき状況
| 要約 |
建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は、震度6弱程度だったことが判明した。
しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上(下地図の黄・橙・赤色地域)が予測されている。また、その「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿地方の多くの市区町村で50%を超えた(下表参照)。
30年以内で
震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる都道府県※ (2009年基準での2008年との比較) 政府地震調査委員会
| 地方 | 都道府県 | 2009年 (県内最大値(役場)) | 2008年 (2009年同地点の値) |
北海道 | 北海道 | 63.89% | 20.21% |
東北 | 宮城県 | 58.36% | 6.45% |
関東 | 茨城県 | 78.13% | 12.50% |
埼玉県 | 65.39% | 27.34% |
千葉県 | 77.03% | 17.85% |
東京都 | 67.93% | 29.20% |
神奈川県 | 88.71% | 73.41% |
甲信 | 山梨県 | 89.88% | 86.41% |
長野県 | 60.31% | 47.18% |
東海 | 岐阜県 | 73.37% | 29.68% |
静岡県 | 96.44% | 92.84% |
愛知県 | 94.57% | 85.46% |
三重県 | 87.09% | 73.37% |
近畿 | 滋賀県 | 51.66% | 7.09% |
京都府 | 61.40% | 29.93% |
大阪府 | 68.79% | 28.55% |
兵庫県 | 52.30% | 26.28% |
奈良県 | 73.63% | 46.54% |
和歌山県 | 86.80% | 80.14% |
四国 | 徳島県 | 68.93% | 54.61% |
香川県 | 54.33% | 23.69% |
愛媛県 | 65.00% | 40.20% |
高知県 | 65.09% | 59.18% |
九州 | 大分県 | 55.59% | 8.73% | 宮崎県(参考) | 49.27% | 17.72% |
※県内の県庁及び各市区町村役場(周辺)での最大地震発生確率で、県内の地域でこれ以上になる場合がある。
2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村) |
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★
この10年間での地震死亡者約75万人/自然災害死亡者のうちの約7割
★ 頻発する地震
★ 地震活動期
★ 30年以内
震度6弱以上の地震発生確率の異常な高さ ★ 政府中央防災会議の地震被害想定
★ 東海地震
過去30年で最も危険な状態
☆
【参考】
震度別地震回数表からの比較について
■100kine・1000gal以上多数観測の時代
★ 100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測
(4000gal観測も) ★
全壊率の指標
( 加速度+変位 ⇒ 「速度」) ★
「民間独自の耐震基準づくり」
(150kine 1500gal基準も) ★ 土木においても建築の耐震基準の2倍
(C0=2.0相当) ★ 防災対策=直下型地震+海溝型巨大地震対策
■大きな節目の年、耐震基準(安全・損傷限界)引上げへ
★ 大きな節目の年
★ 現行の建築基準法の損傷限界・安全限界について
★ 震度6強〜震度7程度でも倒壊しないための「耐震基準」改定の目安
★ 安全限界・損傷限界の引上げへ
★ 耐震基準引上げの機会は今しか無い
★ 「暫定措置」案 NEW!
★ 地震静穏期と地震活動期の建築基準法
☆ 【参考】
標準せん断力係数C0=0.2について ☆ 【参考】地震活動期の建築基準法の耐震基準案
■有史以来の「悲願」達成、夢の実現へ
★ 国家にとって必要不可欠な基盤づくり、「国民の命を守る」基盤づくり
★ 第二の建国/日本の再生/地震被害を根絶する国づくり
★ 未曾有の建設ラッシュが25〜30年続く、持続的経済成長
★ 有史以来の「悲願」達成
★ 地震被害を0にできる技術
■姉歯事件以降の問題・混乱も解決へ
★
姉歯事件の問題 ★ 建築全体が瀕死の状態から、建築文化の再生・復活へ
★ 創作的時間の回復/国全体の建築・都市の文化的豊かさへ
★ 【参考】「最高裁が震度6強以上の地震で倒壊・崩壊する恐れ」について
■最後に、歴史から見て、足元フリー構法について
★ 現行の耐震基準(地震入力
300〜400gal)のままでよい方法、足元フリー構法 ★ 足元フリー/固定での「建築構造歴史」
★ 「足元フリー構法」と「安全限界加速度=300〜400gal」との整合性
★ 中村達太郎
曽禰達蔵 片山東熊 辰野金吾著「木造日本風住家改良構造仕様」1896年 ★
大森房吉著「臺灣地震調査」震災豫防調査會報告1906年
★ 「足元フリー」と「足元固定(緊結)」の比較
★ 「プレ免震」と「免震」の比較
☆ 【参考】
足元フリー/固定での、建築構造の歴史 ☆ 【参考】
足元フリー構法について ☆ 【参考】
足元フリー構法に関する重要文献での記載内容
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