免震装置には次のような装置があります。 (1) 免震支承 ( IAU型免震システムでは「二重免震皿転がり免震支承」) まず、基本となる免震装置は免震支承です。 a) 免震性能 これまで建築物に採用されている免震支承の多くは「積層ゴム免震支承」でしたが、この免震装置ではある程度重さのあるビルなどの建物でないと有効でなく、木造・鉄骨造等の軽量建物には免震効果は期待できませんでした。 これに対し、軽量建物にも免震効果が得られるのが、「転がり免震支承」または「すべり免震支承」です。 その転がり免震支承とすべり免震支承を比較しますと、免震性能を決定づける摩擦係数において、 転がりの摩擦係数 ≒ 1/100 (3/1000〜1/100) すべりの摩擦係数 ≒ 1/10 (5/100〜1/10) と一桁違う性能を示します。 つまり転がり免震支承が一桁違う高い性能を持つわけです。
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※gal
:加速度単位で、重力加速度1Gは、981galです。 kine :速度単位で、cm/秒です。 上記の値は、「転がり免震支承」の場合の、2階建て建物での免震実大実験の結果で、それも加速度増幅の働く2階床面での応答加速度です。
また、免震支承もフラット免震支承ではなく勾配付き免震支承の場合で、大地震になりますとダンパーが相当に効いて応答加速度をさらに大きくさせますが、( IAU型転がり免震の場合ですが)
「転がり免震支承」では、この程度の免震性能は得られます。 震度4での小地震でも1/4、大地震では1/13となっています。一般的に、「すべり免震支承」では、百数十galでは免震しませんが、 「転がり免震支承」( IAU型転がり免震の場合ですが)では、百数十galでも1/4免震が得られています。 b) メンテナンス メンテナンスにおいても、転がり免震支承のうち、IAU型免震支承の二重免震皿転がり免震支承は、すべり免震支承に比べて格段にメンテナンスが容易です。 二重免震皿転がり免震支承の場合は、ごみ・砂程度が入っても免震性能はさほど落ちませんが、多球式※の転がり免震支承またはすべり免震支承の場合はそういうわけにはいきません。 また、多球式※の転がり免震支承でみられるような定期的な注油も必要としません。 【多球式※転がり免震支承の問題】 多球式※の転がり免震支承では定期的な注油を怠りますと錆びが発生して正常な免震性能が得られません。 このような装置は、本来「機械」で使用すべき装置であり、常時に動いていることにより潤滑油が行きわたる機構です。 それを何十年に一度の地震でしか大きく動かない、そのため全体に潤滑油が行きわたらないというような、免震支承に使うこと自体が、大きな問題といわざるを得ません。 また、多球式は、球が一個でも損傷しますと、支承全体が動かなくなる可能性を持っています。 この多球式は、複雑な機構のため、コストアップになるだけで、そのメリットはわかりません。 メンテナンスのされにくい建物では、「シンプル イズ ベスト」をめざすべきであり、単純さの極みである「単球式二重皿免震支承」に比べれば、「多球式転がり免震支承」はあまりに遠い存在です。 ※多球式: 一つの大きい球に多数の小さい球が載りそれが循環する「循環式転がり案内」、また、多数の小さい球が循環する「循環式転がり案内」使用のもの(クロスリニア型)。 c) コスト コストにおいても、転がり免震支承、特にIAU型免震支承の二重免震皿転がり免震支承は、すべり免震支承また多球式の転がり免震支承に比べても格段に安価です。 ![]() 二重免震皿転がり免震支承 二重免震皿転がり免震支承(複数基型) 以上のことから、IAU型免震システムは、最も免震性能の高い、最もコストパフォーマンスの優れた、二重免震皿転がり免震支承を採用しています。 当然、木造・鉄骨造等の軽量な戸建て住宅にも対応でき、最も優れたコストパフォーマンス、最も高い免震性能を発揮します。 さらに、IAU型免震システムが、現形状の「転がり免震支承」を採用した理由は、以下のような「共振しない」、「地震後の揺れがない」、「原点復帰性能が良い」、「不同沈下に対応できる」といった理由からです。 d) 共振 「積層ゴム免震支承」は、固有周期を持つため、長周期の地震に遭遇しますと、免震効果が全く得られないだけでなく、場合によると共振を起こすこともあります。 「ゴム(バネ)復元材+すべり免震支承併用装置」「ゴム(バネ)復元材+転がり免震支承併用装置」にも同じことが言え、球面支承でも固有周期をもつため、同じことが言えます(減衰材によって増幅はある程度抑えられますが共振現象を消去できるわけではありません)。 その点、IAU型免震支承は固有周期を持たないため、共振を起こさず加速度増幅のない装置です。 → 共振・長周期地震 / 共振防止 e) 地震後の揺れ続け 「積層ゴム免震支承」は、固有周期を持つため、地震後も揺れ続けます。 「ゴム(バネ)復元材+すべり免震支承併用装置」「ゴム(バネ)復元材+転がり免震支承併用装置」にも同じことが言え、球面支承でも固有周期をもつため同じことが言えます(減衰材によって地震後の揺れ続けをある程度抑えられますが、減衰を強くすると次項の原点復帰しないという問題が出てきます)。 その点、IAU型免震支承は固有周期を持たないため、地震後の揺れが続かない装置です。 → 地震後の揺れ続け f) 原点復帰性能 → 余震・連続地震対応 「すべり免震支承」は、摩擦係数が大きいため、地震後に建物が元の位置に戻らないという現象があります。 「ゴム(バネ)復元材+すべり免震支承併用装置」にも同じことが言えます。 「ゴム(バネ)復元材+すべり免震支承併用装置」に比べればましですが、「ゴム(バネ)復元材+転がり免震支承併用装置」にも同じような現象が見られます。 これはゴム・バネは原点付近の復元力が小さく、さらに固有周期を長くするためにバネ力を小さくしているために原点復帰しにくくなっている現象です。 また、球面支承でも原点付近の復元力が小さいため同じことが言え、特にすべり系の球面支承はその傾向が大きいです。 さらに加えて(原点復帰型ダンパーで無い型の)共振抑制等の減衰材を併用すると、さらに助長される現象です。 この建物が元の位置に地震後戻らないという現象は、余震・連続地震で大問題になります。 東海地震(M8)クラスでは阪神大震災(M7)クラスの余震が何回も襲ってくる可能性があります。 もし地震後元の位置に戻らなければ、次のこのような強震動の余震に対して正常な免震が得られず、ストッパーに衝突したり、ストッパーからはみ出したりして大問題になる可能性があります。 → 免震後の建物位置ずれ その点、IAU型免震支承はきちんと原点復帰して地震後建物の位置ずれがない装置であるため、次に襲ってくるこのような強震動の余震に対して連続地震に対しても対応できるわけです。 大地震時には停電の恐れがあるため、電気で元の建物位置に戻すようなことも IAU型免震システムでは当然していません。 g) 不同沈下対応 フラットな免震皿をもつ免震支承の場合、地震後、強風後も元の位置に戻らないだけでなく、不同沈下によっても、建物がずれてしまい、また地震時に正常な免震が得られません。 IAUの免震システムでは、転がり免震支承の免震皿にすり鉢状の勾配を設けてあり、傾斜角1/50程度の不同沈下等でも建物が動き出してずれてしまうということはありません。 この傾斜角1/50は、日本建築学会「小規模建築物基礎設計の手引き」での「倒壊の危険及び使用困難」という最終段階での不同沈下傾斜角1/67(15/1000)※さえも上回っており、全く心配のない値です。 ※「小規模建築物基礎設計の手引き」日本建築学会P59 (2) 引抜き防止装置 ( IAU型免震システムでは「引抜き防止付転がり免震支承」) 2番目に、免震装置として、地震時の上下動による建物の浮き上り、また強風時の建物の浮き上り、洪水等による建物の水による浮き上り等の防止装置です。 a) 地震上下動による免震建物浮き上り防止 2003年宮城県北部地震での上下動 1.27G、2004年新潟県中越地震での上下動1.08Gが観測されています。 そのような場合、基礎と建物をつなぐものを持たない免震建物は浮き上がります。 その場合正常な免震が得られないだけでなく建物に大きな被害が出る可能性があります。 → 地震上下動による免震建物浮き上り b) 強風による免震建物浮き上り防止 2004年に上陸後瞬間風速 50m/s超える台風が7回上陸し各地で被害をもたらしましたが、そのような強風時、基礎と建物をつなぐものを持たない免震建物、特に木造等の軽量免震建物は浮き上がり、建物に大きな被害が出る可能性があります。 → 強風時の建物の浮き上がり c) 洪水等による免震建物浮き上り・流され防止 2004年は、これらの台風による洪水、スマトラ地震による津波がありました。 基礎と建物をつなぐものを持たない免震建物、特に木造等の軽量免震建物は、このような洪水・津波によって水で浮き上がり、波によって翻弄、さらには流されてしまう可能性があります。 以上のような、地震時の上下動による建物の浮き上り、また強風時の建物の浮き上り、洪水・津波等による建物の水による浮き上りを考えますと、その浮き上がりを防止する引抜き防止装置は必須の免震装置です。 IAU型戸建て住宅用免震システムでは、この「引抜き防止装置」を標準装備しています。 → 引抜き防止 引抜き防止付転がり免震支承 (3) 捩れ防止装置 ( IAU型免震システムでは「引抜き防止付転がり免震支承」) 3番目に、免震装置として、地震時(免震時)の建物の捩れを防止する装置です。 地震時(免震時)の捩れは、地震時に起きる回転運動で、捩れますとストッパーに衝突するなどの危険な現象を引き起こします。 このような捩れは、建物の重心と免震装置全体の剛心とが合致するように免震装置のバネ定数・減衰係数を調整することによって防止できますが、竣工後の荷重変動には対応できません(竣工当時には重心と剛心とが合致していても、その後の重い家具等の移動による積載荷重の変動、間取り変更・リフォーム等による固定荷重・積載荷重変動には対応できません)。 そのような場合には免震時に捩れが起こります。 そのような恐れをなくすために IAU型免震システムでは特別に「捩れ防止装置」を設けて安全性を図っています。 また、この装置は強風時の建物の回転を防止する装置にもなります。 IAU型戸建て住宅用免震システムでは、この「捩れ防止装置」を標準装備しています。 → 捩れ防止 / 間取変更・増改築対応 (4) ダンパー(減衰材) ( IAU型免震システムでは「全方位型油圧ダンパー」) 4番目に、免震装置として、ダンパーを必要とします。 a) 共振抑制 一般の免震システムでは共振=加速度増幅を抑制するダンパー(ダンパーによって共振はある程度抑えられますが共振現象を消去できるわけではありません)を必要とします。 但し、 IAU型免震システムには共振現象はありません。 → 共振1 / 共振2 b) 地震後の揺れ続け抑制 一般の免震システムでは地震後の揺れ続けを抑制するダンパー(ダンパーによって地震後の揺れ続けをある程度抑えられますが、地震後の揺れ続け現象を消去できるわけではありません)を必要とします。 但し、 IAU型免震システムには地震後の揺れ続けの現象はありません。 → 地震後の揺れ続け c) 過大変位抑制及びストッパー衝突緩衝 IAU型免震のダンパーでは、上記a) b)機能のさらに上の、想定以上の大地震の過大な変位(揺れ幅)を防ぐための「過大変位抑制及びストッパー衝突緩衝装置」にもなり、 IAU型免震システムでは、標準装備としています。 → 過大変位抑制及びストッパー衝突緩衝装置 ストッパー衝突緩衝装置兼用全方位型ダンパー (5) 風揺れ固定装置 5番目に、免震装置として、木造・鉄骨造等の軽量の免震建物の場合には、風でよく揺れますので、風揺れ固定装置が必要になります。 2004年には 50m/s超える台風が7回上陸しましたように、風揺れ固定装置も必須の免震装置といえましょう。 IAU型戸建て住宅用免震システムでは、風揺れ抑制と言っても、500年に一度の台風の風揺れに抵抗する「風揺れ固定装置(完全自動電源不要)」を標準装備しています。 → 風対策 風揺れ固定装置
従来の免震の考え方は、免震装置によって建物の固有周期を地震波よりも長周期とし、地震力が建物に伝わるのを防ぐというものです。 しかし、地震波の中にはかなり長周期のものもあり、共振の可能性は否定できませんでした(共振現象を起こすと、加速度が大きくなり、建物が倒壊する可能性が大きくなります)。 I A U 型免震システムの転がり免震支承は、復元支承にもかかわらず固有周期を持たないため、すべての構造物(免震と耐震とを問わず)に不可避と考えられていた共振=加速度増大による建物の倒壊を防ぐことを可能にするものです。 → 共振・長周期地震の詳細説明 従来の免震装置は、引抜き力に対応できないため、免震建物の浮き上りに対処できませんでした。 ○地震の上下動が1G以上の場合には、免震建物は浮き上ります。 地震の上下動として、 2003年宮城県北部地震では上下動最大加速度 1241.7gal (1.27G) 2004年新潟県中越地震での上下動最大加速度 1059.1gal (1.08G) が観測されています。 2004年新潟県中越地震での上越新幹線の脱線も、このような上下動による「飛び上がり脱線」と国土交通省航空・鉄道事故調査委員会によって断定されました。 このような地震時には当然免震建物も基礎と建物本体をつなぎとめるものがないと浮き上がります。 → 地震上下動浮き上り / 上下動の免震装置問題 / 1G以上の上下動実大実験 ○風によっても免震建物は浮き上ります。 2004年10月の台風22号では、横浜市金沢区幸浦の並木中央駐車場で駐車していた38台のトラックが折り重なるように横倒し、トラックなども舞い上げるほどの強風の強さを見せつけました。 このことは、強風の吹き上げ力に対処していない免震システムは非常に危険であることを示唆しています。 ○ I A U 型戸建て住宅用免震システムでは、このような事態に備え、免震建物の浮き上りを防ぐ引抜き防止付転がり免震支承を標準装備しています。 積層ゴム等のバネ型の復元装置やオイルダンパー等の減衰装置を採用して重心と剛心がずれている場合、免震時に免震建物の捩れ振動が生じます。 その場合には、捩れ振動が増幅し、耐震建物よりも危険な状態となります。 I A U 型免震システムでは、一律の装置で、プランが多様で偏心しても免震時に捩れが生じにくい機構になっています。 またさらに、万一捩れが起きた場合でも、引抜き防止付転がり免震支承が、捩れ抑制装置の役割を果たし、この捩れを抑え込んでくれます。 → IAU型免震装置・免震システム Q&A
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