足元フリー/固定での「建築構造の歴史」
■足元フリー/固定での「建築構造の歴史」
◆礎石建物は588年から
礎石建物は、588年に造営が始まった法興寺(飛鳥寺)が最初といわれる。当初は寺院等に限られていたが、江戸時代には民家にも採用されるまで普及した。
礎石構法が普及した理由は、基本的には、掘立柱建物では柱の土中部分から腐り始めるためで、それを防止できるからであり、加えて地震力低減のためということもあった。
★建物への地震入力加速度の頭打ち効果
礎石と建物柱等の摩擦係数が 例えば、0.4程度なら、それを超える地震動が来た場合に、滑り出して、建物への入力地震動が、いくら大きな地震でも 約400gal程度までに抑えられる。
逆にこのような建物への入力加速度の頭打ちがないと、現在のように大きな加速度が観測されるたびに、「建物設計用地震力」の見直しを検討せざるを得なくなる。しかも、耐力アップするには「耐震工法」では限度がある。それに対して、「大地震動(最大級の地震動)」時の建物への地震入力加速度を頭打ちにできることは、最も困難な、この問題を解決する非常に優れた方法である。
★応答倍率も低減
2階建て建物の2階での地震による応答値を見ても、足元フリー構法が断然有利である。足元固定(緊結)構法が、2階建て戸建住宅の2階の場合応答倍率が約1.5〜3になるに対して、免震(スリップ)した場合の応答倍率は、スウェイ振動のおかげで各階増幅が少なく、1 に近づく。
★入力値+応答値の2重の低減効果
以上のように、免震(スリップ)が始まった場合には、
入力値+応答値の2重の低減効果
が得られ、足元フリー構法が、格段に有利となる。例えば、足元フリーの摩擦係数が 0.4程度なら、地震入力が 400gal に抑えられるだけでなく、応答値も約400galに抑えられるということである。足元固定の場合は、例えば地震入力加速度 800galなら応答倍率1.5倍で、応答値は 1200galにもなる。 400galに比べて3倍であり、足元フリーの効果によって、
1/3
低減が可能となる。地震入力加速度が大きくなればなるほどその効果は大きくなる。
◆市街地建築物法・建築基準法から建物が基礎に固定
関東大震災前の1920年に公布された市街地建築物法(1924年設計震度追加)、そして1950年の全国に適用された建築基準法から、建物が基礎に固定となった。
◆2000年告示第2009号により「免震」の法整備
阪神大震災後の1998年に建築基準法が改正され、2000年(平成12年)告示第2009号により「免震建物」が建築確認申請だけで建てられるようになった。また、「最大級の地震動」に対し、許容応力度計算、すなわち、構造躯体の「無損傷」が求められている。つまり、建物の「崩壊倒壊防止」段階から「損傷防止」段階に発展した。
【足元フリー/固定での、建築構造の歴史】
基礎と建物が緊結される(足元固定)の「耐震」で考えた場合、
地震のたびに上がる加速度
に対応して耐力アップの法改正をするのでは、際限がない。
日本列島のように大地震多発地帯で、特に地震活動期に入った場合、「
足元固定(緊結)構法
」、すなわち、「
地震力の頭打しない構法
」では、非常に不経済になるだけでなく構造的に対応できない構法もあり、地震力の上限が予想できない場合には危険ですらある。
「
地震入力の頭打ち効果
」「
地震応答低減効果
」のある「
足元フリー構法
」が、地震列島日本において長い歳月の末にようやくたどり着いた、最終的な構法である
。そして現代の「免震」はその発展形である。
・
・
・
・
・
・
・
・
地震静穏期・地震活動期
繰返す
・
・
・
・
・
・
・
・
「足元フリー」へ
(
プレ免震の時代
)
(礎石建て構法等の足元フリー構法へ)
「掘立柱」構法から、地震ごとに
「礎石建て」構法に徐々に移行
1923年関東大震災
地震静穏期へ
・
・
「足元固定」へ
(足元アンカー構法へ)
1995年阪神大震災
地震活動期へ
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「足元フリー」へ
(
免震の時代へ
)
(本格的「免震」の時代へ + 足元フリー構法復活へ)
地震入力
上階応答
大地震動時※
足元
フリー
プレ免震
頭打ち
1倍に近づく
(免震時)
大地震動を超えても
「崩壊・倒壊」防止も
足元
固定
耐震
際限なく入る
戸建:1.5〜3倍
高層:数倍
大地震動を超えると
「倒壊・崩壊」可能性
足元
フリー
免震
頭打ち
(100gal以下も)
約1倍
(免震時)
無損傷
※建築基準法上の「最大級の地震動」で、建物への入力加速度300〜400gal程度
建築基準法通りの耐震基準の建物の場合。
(1)
1920年(市街地建築物法、1950年の建築基準法)まで =
足元フリーの時代
(「
プレ免震の時代
」)
礎石に載せるだけの建築足元フリー=「プレ免震の時代」は6世紀末から1920〜50年頃まで1300年以上の歴史
がある。礎石建物は、588年に造営が始まった法興寺(飛鳥寺)が最初といわれる。当初は寺院等に限られていた
が、江戸時代には民家にも採用されるまで普及した。
建築の足元フリーのおかげで、以下のような「
地震入力の頭打ち効果
」「
地震応答低減効果
」があり、大地震
動時にスリップして、
建物への地震入力加速度を低減でき、倒壊・崩壊を免れることができる場合もある
。
(2)
1920年(特に1950年の建築基準法)以降 =
足元固定の時代
関東大震災前の1920年に公布された市街地建築物法(1924年設計震度追加)、そして1950年の全国に適用され
た建築基準法から、建築の足元は基礎に固定(緊結)となった。
【入力値】
・足元フリー構法 :地震入力加速度=981gal×摩擦係数
(
地震入力の頭打ち効果
)
・足元固定(緊結)構法:地震入力加速度=地震加速度
固定になってから、いくらでも地震力が入る。
地震観測ごとに見直しをすると、
「最大級の地震力」が、際限なく上がってしまう
。 ⇒
近年観測地震加速度
次に、応答値を見ても、足元フリー構法が断然有利である。足元固定(緊結)構法が、2階建て戸建住宅の2階の
場合応答倍率が約1.5〜3になるに対して、免震(スリップ)した場合の応答倍率は、
スウェイ振動のおかげで
、
1 に近づく(※
実大実験説明
の
図25より
)。
【応答値/2階建て戸建住宅の2階の場合】
・足元フリー構法 :地震応答加速度=981gal×摩擦係数
(
地震応答低減効果
)
・足元固定(緊結)構法:地震応答加速度=地震加速度×応答倍率
(約
1.5〜3
)
以上のように、免震(スリップ)が始まった場合には、
入力+応答の2重の低減効果
が得られ、足元フリー
構法の方が断然有利
である。例えば、足元フリーの摩擦係数が
0.4程度なら、地震入力が 400gal に抑えられる
だけでなく、応答値も約400galに抑えられる
ということである。足元固定の場合は、例えば
地震入力加速度 800gal
なら
応答倍率1.5倍で、応答値は 1200galになる。 400galに比べて3倍であり、
足元フリーの効果によって、
1/3
低減が可能となる。地震入力加速度が大きくなればなるほどその効果は大きくなる
。
自然相手であるため地震対応には実は際限が無い。その耐震性アップには「足元固定(緊結)構法」では工法的
にも限度がある。日本列島のように大地震多発地帯で、地震活動期に入った場合、「
足元固定(緊結)構法
」
すなわち「
地震力の頭打しない構法
」は、非常に不経済になるだけでなく、地震力対応に限度があるため、上限
が予想できない状態では危険ですらある。
(3)
1995年(阪神大震災)以降 =
足元フリーの時代
(「
免震の時代
」へ)
阪神大震災、地震活動期に入るとともに、
本格的な足元フリーの時代、すなわち、「免震の時代」が始まった
。
阪神大震災後の1998年に建築基準法が改正され、平成12年告示第2009号により「免震建物」が建築確認申請だ
けで建てられるようになった。
(1)の時代よりも、画期的に地震力低減化が可能であり、建物本体(上部構造)の耐震性軽減化も可能になった。
性能が、(1)(2)の時代の「
建物倒壊崩壊防止
」から、「
無損傷領域をどれだけ拡げられるか
」に移行した
。
震度4〜5弱
※4
震度6弱
※4
地動加速度
:0gal
80〜100gal
※1
300〜400gal程度
※1
▼
▼
▼
足元フリー住宅
(
プレ免震
)
摩擦係数0.3〜0.4
無損傷
小〜大
至る
破壊に
可能性
免震スタートして倒壊・崩壊免れる可能性も
震度4〜5弱
震度6弱
地動加速度
:0gal 80〜100gal
300〜400gal程度
▼
▼
▼
耐震・制震住宅
(
耐震等級1
)
(
足元固定
)
無損傷
小〜大
至る
破壊に
可能性
倒壊・崩壊の可能性
■■■■■■■■
震度7
地動加速度
:0gal
約2400gal※
▼
▼
免震住宅
(
良い免震
)
上部構造:耐震等級1
無損傷
損傷の
可能性
■足元フリー構法について
「足元フリー構法」が非常に論議されるようになってきた。そのことについてまとめてみた。
⇒
実大実験映像
(
実大概要
)
実大実験映像
実大実験論文
これ木連(1)
これ木連(4)
朝日新聞社説
1.
建物足元同士の一体性
建物の足元(木)同士が繋がっており、地震時に滑り出し、浮き上がっても、建物の足元がバラバラにならないような構造になっていること。また建物の足元の平面形状の変形も相当に大きくなる場合があるので平面形状の保持も大切である。
2.
個々の足元の摩擦係数の統一性
木(足元)と石の個々の摩擦係数が全てほぼ同じでないと、何箇所かが相当に大きい摩擦係数であったり、固定されていると(場合によっては設備配管も注意が必要)、そこを中心にねじれたり、その部分が滑らずに建物が引き裂かれて崩壊してしまう可能性がある。一部の、木と石をつなぐホゾ等は厳禁である(ホゾ穴に余裕があっても、大地震動時の変位は最低でも±30cm程度は考える必要はあるので、僅かなホゾ穴の余裕では全く足りない)。このホゾ等がせん断ピン(風揺れ対策)的な扱いであれば、重心近傍の一本か、切断時の合力が重心に集まるか、全てのホゾ等が同じ加速度で切断するか等でないと捩れの原因になる。
3.
礎石の大きさ
礎石の大きさがかなりの大きさ(地震応答変位分以上の寸法の礎石、大地震動時の変位は最低でも±30cm程度は考える必要はあるので柱自体の寸法をプラスしてさらに余裕を見ると約1m)でないと、礎石から外れて、その外側に大きな段差があると、礎石から外れて建物が落ちて崩れてしまう可能性がある(免震の場合は一定以上の応答変位にならないようにストッパー等を設けており、そのストッパーへの衝突を吸収する緩衝装置も設けられている場合もある)。
4.
建物周囲のクリアランス
建物が滑り出して、建物周囲にクリアランスがあるかどうか。例えば、地震時に±30cm※移動したら、建物周囲にクリアランスとして30cm+人間の寸法分が無いと、人間が周りにいると押し潰される(※免震の場合はダンパー等でブレーキをかけるが、ダンパーが無いとそれ以上になる。また一定以上の応答変位にならないようにストッパー等を設けており、そのストッパーへの衝突を吸収する緩衝装置も設けられている場合もある)。
5.
強風
風で動き出さないか、浮き上がらないか。そのために伝統構法では建物特に屋根を重くして浮かないようにまた動き出さないようにしてきた。しかし、この屋根を重くすると、地震に対して弱い構造になるので、耐力壁等が増え、間取拘束をうけ、伝統的な軽快なデザインの特質がなくなる。結局「足元フリーによるプレ免震化」の意味がなくなる。
軽量建物での「免震」の場合は「風揺れ固定装置」を設けている。
6.
木と石の摩擦係数 1
現行の建築基準法通りの建物で考えた場合、「最大級の地震動=約300galから400gal程度」までに、スリップ(免震)しないと、建物が倒壊・崩壊する可能性がある。そのために、礎石と建物柱等の摩擦係数を、0.3〜0.4程度にする必要がある。それ以上の摩擦係数の場合は、それに見合った耐震性能にする必要がある。
7.
木と石の摩擦係数 2
この摩擦係数問題は、一番かなめである。現行の「免震装置」では、このために大臣認定制度を取っている。大臣認定で一番かなめは、摩擦係数の安定さである。摩擦係数が0.1違うだけで100galも違うためである(建築基準法通りの建物では、地震入力加速度80〜100galを超えると損傷が始まるので、摩擦係数0.1は建物にとって大きな値である)。また、摩擦係数=0.3〜0.4以下が安定的に得られたとしても、300gal〜400gal程度が建物に入るので、結局、建物本体(上部構造)の耐震性能は、現行の耐震基準と同じものが要求される。
8.
地盤調査
地盤のチェックは非常に重要な要素である。足元フリーにすると、地盤の傾斜で建物がずれ始めるからである。地震時でも地盤の傾斜方向にのみずれてしまう。液状化を起こすともっと極端になる。
そのため、「免震」の場合は、第1種地盤又は液状化のおそれのない第2種地盤であることの地盤調査が求められている。
9.
地震時の性能
これだけのチェックをして建てる必要があるが、しかし、地震時の性能は、大地震動時に、
倒壊・崩壊を免れることができる場合もある
という程度である。そうであっても、「
地震入力の頭打ち効果
」「
地震応答低減効果
」があるのは確かである。
【入力値】
・足元フリー構法 :地震入力加速度=981gal×摩擦係数
(
地震入力の頭打ち効果
)
・足元固定(緊結)構法:地震入力加速度=地震加速度
以上の式で明らかなように、足元フリー構法のメリットは足元フリーによる(摩擦係数によって決定される)「
地震入力の頭打ち効果
」である。足元固定にしてしまえば、足元フリーに比べて「
地震力が際限なく入る
」ということである。
また、応答値を見ても、足元フリー構法が断然有利である。足元固定(緊結)構法が、2階建て戸建住宅の2階の場合応答倍率が約1.5〜3になるに対して、免震(スリップ)した場合の応答倍率は、
スウェイ振動のおかげで各階増幅が少なく、1 に近づく
(※
実大実験説明
の
図25より
)。
【応答値/2F戸建住宅の2Fの場合】
・足元フリー構法 :地震応答加速度=981gal×摩擦係数
(
地震応答低減効果
)
・足元固定(緊結)構法:地震応答加速度=地震加速度×応答倍率
(約
1.5〜3
)
以上のことから、免震(スリップ)が始まった場合には、
入力+応答の2重の低減効果
が得られ、足元フリー構法の方が断然有利
である。例えば、足元フリーの摩擦係数が
0.4程度なら、地震入力が 400galに抑えられるだけでなく、応答値も約400galに抑えられる
ということである。足元固定の場合は、例えば
地震入力加速度 800galなら
応答倍率1.5倍で、応答値は 1200galになる。 400galに比べて3倍であり、
足元フリーの効果によって、
1/3
低減が可能となる。地震入力加速度が大きくなればなるほどその効果は大きくなる。
なお、本格的「免震」は、大地震動(最大級の地震動)時における「
建物倒壊崩壊防止
」クラスではなく、(建物倒壊崩壊防止性能は当然満たしており)その上の「
無損傷
」クラスの性能である。
震度4〜5弱
震度6弱
地動加速度
:0gal 80〜100gal
300〜400gal程度
▼
▼
▼
耐震・制震住宅
(
耐震等級1
)
(
足元固定
)
無損傷
小〜大
至る
破壊に
可能性
倒壊・崩壊の可能性
■■■■■■■■
(地震力が際限なく入る)
■■■■■■
■■
震度4〜5弱
※4
震度6弱
※4
地動加速度
:0gal
80〜100gal
※1
300〜400gal程度
※1
▼
▼
▼
足元フリー住宅
(
プレ免震
)
摩擦係数0.3〜0.4
無損傷
小〜大
至る
破壊に
可能性
免震スタートして倒壊・崩壊免れる可能性も
(地震入力の頭打ち効果・地震応答低減効果)
震度7
地動加速度
:0gal
約2400gal※
▼
▼
免震住宅
(
良い免震
)
上部構造:耐震等級1
無損傷
損傷の
可能性
地震入力
上階応答
大地震動時※
足元
固定
耐震
際限なく入る
戸建:1.5〜3倍
高層:数倍
大地震動を超えると
「倒壊・崩壊」可能性
足元
フリー
プレ免震
頭打ち
1倍に近づく
(免震時)
大地震動を超えても
「崩壊・倒壊」防止も
免震
頭打ち
(100gal以下も)
約1倍
(免震時)
無損傷
※建築基準法上の「最大級の地震動」で、建物への入力加速度300〜400gal程度
建築基準法通りの耐震基準の建物の場合。
以下のグラフは、「足元固定(緊結)構法」と「足元フリー構法」の応答解析比較である。1000gal正弦波入力(0.6秒)、2000gal正弦波入力(0.6秒)、0〜2000galスイープ正弦波入力(0.6秒)での比較である。建物の剛性と減衰定数は
実大実験で使用した在来木造2階建て戸建住宅
のものである。応答解析計算時には気象庁計測震度計算時と同じ 0.3秒のハイカットフィルターを掛けている。
「足元フリー構法」は摩擦係数 0.4の場合である。免震としては相当に悪いものであるが、格段の差が出ている。
下記グラフの、灰色が地震入力加速度、赤色が1階、青色が2階、緑色が屋根階の応答加速度となっている。
「足元固定(緊結)構法」では、1階(赤)は地震入力(灰)と同じ値だが、2階(青)、屋根階(緑)は地震入力(灰)より増幅している。
「足元フリー構法」では、1階(赤)、2階(青)、屋根階(緑)とも、地震入力(灰)より免震効果で小さくなっている。
・ 1000gal正弦波入力(0.6秒)の場合
「足元固定(緊結)構法」と「足元フリー構法」の、1階(赤)同士の比較では約
2.5倍
、2階(青)同士、屋根階(緑)同士の比較では約
3倍
の差となっている (応答加速度に乱れがあるのは過渡振動のためである)。
・ 2000gal正弦波入力(0.6秒)の場合
「足元固定(緊結)構法」と「足元フリー構法」の、1階(赤)同士の比較では約
5倍
、2階(青)同士、屋根階(緑)同士の比較では約
6倍
の差となっている (応答加速度に乱れがあるのは過渡振動のためである)。
・ 0〜2000galスイープ正弦波入力(0.6秒)の場合
地震入力加速度を大きくしていくと、「足元固定(緊結)構法」の方は、1階(赤)、2階(青)、屋根階(緑)の応答加速度が徐々に大きくなって行くに比べて、「足元フリー構法」の方は、免震が始まった段階で、1階(赤)、2階(青)、屋根階(緑)の応答加速度はほぼ一定となる (応答加速度に乱れがあるのは過渡振動のためである)。そのため、地震入力加速度が大きくなればなるほど、「足元フリー構法」の地震力低減効果が、さらに大きくなることがわかる。
さらに、以下は、良い「免震」の場合である。
以上のように、
「足元フリー構法」の方が格段に有利である
。また、
地震入力加速度が大きくなればなるほど、
「足元フリー構法」の方は、応答値が一定なので、
その効果はさらに大きくなることがわかる
。さらに「免震」は格段に良いことがわかる。
10.
地震後
地震後、建物が元の位置に戻らないという問題がある。特に、地盤の不同沈下で傾いているとその傾斜方向にずれることになる。液状化を起こすともっと極端になる。また連続地震の場合には、そのずれた位置から免震が始まるので、大きくずれて隣地境界の塀等に建物がよっている場合はそれ以上免震できなくなる (2回目以降の方が大きい連続地震もある)。また地震後に元の位置に戻す手間がかかる。原点復帰性(復元性)のない「足元フリー構法」の建物が普及した場合、地震後全てずれているということになり、この問題も実は大きい。 ⇒
8
11.
建築基準法「安全限界」の加速度 300〜400galとの関係
建築基準法の耐震基準の「安全限界」の「大地震動(最大級の地震動)」を 300〜400galに設定し、それ以下の加速度の地震の場合には、
「足元フリー構法」の効果はわからない
。偶然だが
※
、「足元フリー構法」は、300〜400gal以上の加速度の地震でスリップ(免震)が始まり、効果を発揮するので、300〜400gal以下の地震では効果がわからない。実は、その効果がわかってきたのは、西日本が地震活動期に入ってきた
阪神大震災から
であり、またそれ以降に観測された地震の最大加速度も、軒並み
300〜400galを大きく越えている
ことから、
「足元フリー構法」のメリットの「
地震入力の頭打ち効果
」が明瞭になってきた
。
※この「安全限界」の加速度 300〜400galは、関東大震災の被害状況から最終的に決定したと考えられるが、関東大震災までの民家等の建物が「足元フリー構法」であったため、この「足元フリー構法」の「
地震入力加速度の頭打ち効果
」のため、それ以上の加速度であっても、建物には入らない(そう考えないと、
近年観測されている加速度との差が大きすぎる
)。そのことによって決定されたとなると、
現行の耐震基準の「安全限界」の加速度 300〜400galは、「足元フリー構法」での「地震入力の頭打ち効果」が前提
ということになる。
「礎石建て」構法での、この「地震入力の頭打ち効果」については、下記の、日本の地震学の父と言われる大森房吉氏の「臺灣地震調査」報告1906年を参照。
【
大森房吉著 「臺灣地震調査」震災豫防調査會報告1906年
より
】
普通の日本造り家屋は、弱小なる地震動のときは、土台石より辷り動かさるゝこと無ければ、地面に固定せるが如くに振動すれども、
大地震となりて震動激烈なるときは
、水平地震力強くして、木造家屋の下底と土台石との間に存する摩軋に超過することあるべく、斯かる場合には
家屋は土台石より離れて多少移動すべく、即ち実際に地震の激動の幾分を遮断するの効果あるなり
、木造家屋は、その柱が挫折する事なければ、決して全体として転倒せざれば、少しく注意して構造するに於ては、
如何なる大地震に際するも倒るゝこと無かるべきなり
、明治二十四年の濃尾地震、同二十七年の庄内地震の如き、大地震の震央地にても、存立せる農家ありき (※原文はカタカナ書き)
12.
「耐震基準引上げ」から
別稿で述べたように、耐震基準における
重大問題の発生
から、
耐震基準(安全限界・損傷限界)引上げ
を考えた場合、特に地震活動期に入り、
地震の加速度が観測される度に上がっている状況
からも、耐震性能を上げざるを得ない場合、
「
地震入力の頭打ち効果
」「
地震応答低減効果
」のある「
足元フリー構法
」・「
免震
」は、最も経済的で現実的なものである
。そして、
大地震動(最大級の地震動)時まで「無損傷」を考えるなら、「
免震
」しか方法はない
。
■「免震の時代」について
以上のように、地震力低減において、「足元固定(緊結)構法」に比べて「足元フリー構法」が、入力値+応答値の2重の低減効果によって、圧倒的にまさる。
しかし、過去の時代の「足元フリー構法」(「プレ免震」)には、以上のような
各種問題
があった。それを解決したのが、現代の「免震」である。
過去の時代の「足元フリー構法」すなわち「プレ免震」と現代の「免震」との違いは、以下に要約される。
1.高い免震性能
摩擦係数が、0.4程度から0.01程度に
大地震動(最大級の地震動)時でも、「倒壊・崩壊」しない段階から、「損傷」もしない段階にきている。
2.風対策
500年に一度の強風時でも、通常の耐震同様に、建物が揺れない、ずれない、浮上がらない「免震」が誕生している ( IAU免震等の一部の免震装置のみ)。
3.免震後
地震後、「プレ免震」では建物が元の位置に戻らないが、元に戻る「免震」が誕生している ( IAU免震等の一部の免震装置のみ)。
以下、進んだ「免震」の例としての「IAU免震」の詳細である。 「免震」は既にこの段階にまできている。
内 容
上段:Q&A参照項目
下段:参照頁
※上段下段ごとに別頁に開きます。
IAU免震システムの概要
IAU免震システムの概要説明
免震 Q & A(入門)
免震−地震から免れるために
地震に対する性能
免震システムの信頼性
業界最多の免震建物の実大実験(12回)によって安全性を確認
3.1. 実大実験
免震実大実験
免震性能
非常に高い免震性能を実現
3.0. 免震性能の良し悪し
3.2. 免震効果
IAU型免震の免震性能
免震・制震・耐震の比較
制震・耐震に対して、圧倒的な地震に対する性能を実現
1.1. 地震に対する性能
1.2. 風に対する性能
1.3. 建築基準法との適応性等
1.4. 建物自由度・敷地条件・設計工事期間等
1.5. コスト等
免震・制震・耐震の比較
免震・制震・耐震の比較 T
免震・制震・耐震の比較 U
免震・制震・耐震の比較 Q&A
免震・制震・耐震の比較 【要約版】[PDF形式]
長周期地震対応
長周期地震に共振しない
3.4. 共振 / 長周期地震
転がり免震支承
想定を超える大地震に対して
想定を超える大地震(過大変位)に対して安全性が図られている
3.5. 想定を超える大地震に対応
全方位型油圧ダンパー
捩れ抑制
地震時の捩れ防止装置がある
3.6. 免震時の捩れ
引抜き防止付転がり免震支承
縦揺れに対して
地震の縦揺れに対して引抜き防止装置がある
3.7. 縦揺れ
引抜き防止付転がり免震支承
地震後の揺れ続け
地震後も建物の揺れ続けがない
3.8. 地震後の揺れ続け
転がり免震支承
/
全方位型ダンパー
地震後の建物位置ずれ
地震後建物の位置ずれがない
3.9. 免震後の建物位置ずれ
転がり免震支承
/
全方位型ダンパー
連続地震・余震対応
地震後当初の位置に復帰し、連続地震また余震に対応できる
3.10. 余震・連続地震対応
転がり免震支承
/
全方位型ダンパー
隣接建物の倒壊に対して
隣接建物倒壊による倒れ込みに対して建物に影響がある場合は引抜き防止装置を設ける
3.12. 隣接建物倒壊倒れ込み対応
引抜き防止付転がり免震支承
強風対策
風揺れ対策
500年に一度の台風に対して風揺れ抵抗性能を確保のため、
風揺れ固定装置を必要数設置するが、中低層建物の場合は、転がり免震支承の勾配+摩擦の抵抗力で対応可能で不要の場合もあり
4.1. 風揺れ
/
4.2. 風揺れ固定装置
風揺れ固定装置
強風時の建物浮上り・回転
強風時建物の浮上・回転を検討し、引抜き防止装置を必要数を設置するが、中低層建物の場合は、建物の重さと、転がり免震支承の勾配+摩擦の抵抗力で不要の場合もあり
4.3. 強風時の建物の浮き上がり
引抜き防止付転がり免震支承
強風後の建物揺れ続け
強風後建物の揺れ続けは当然ない
4.4. 強風後の建物揺れ続け
風揺れ固定装置
/
転がり免震支承
/
全方位型ダンパー
強風後の建物位置ずれ
強風後建物の位置ずれがない
4.5. 強風後の建物位置ずれ
風揺れ固定装置
/
転がり免震支承
/
全方位型ダンパー
その他
洪水・津波対応
洪水・津波に建物が浮いて流されるおそれがある場合は引抜き防止装置・風揺れ固定装置を設ける
5.水害(洪水・津波)
引抜き防止付転がり免震支承
風揺れ固定装置
万一の不同沈下に対して
不同沈下時に建物がずれない対処がされている
6.地盤不同沈下対応
転がり免震支承
施工性
施工が容易で施工期間が短い
11.2. 工事期間
設計期間
設計期間が短い
11.1. 設計期間
電源不要で全自動
電源不要で全自動
9.1. 電源不要全自動
電源不要で全自動
耐久性
寿命が長い 60年相当の高温劣化加速試験で確認
9.2. 耐久性能
耐久性能
メンテナンス
メンテナンスが容易
定期的な潤滑油の注油を必要としない
9.3. メンテナンス
維持管理が容易
確認申請だけで建てられる建物範囲等
大臣認定無しで、確認申請だけで建物が自由に建てられる
10.適用範囲(確認申請だけで建てられる建物範囲等)
幅広い適用性
/
多様な平面対応
模様替え増改築対応
模様替え増改築等が容易にできる
10.5. 間取変更・リフォーム対応
/
10.6. 増改築対応
コスト
安い
12.価格
コストパフォーマンス
採用会社
業界最多の採用会社数
13.採用実績
IAU型免震導入会社一覧
IAU型免震資格者一覧
IAU型免震設計資格者を有する設計事務所一覧
免震改修
既存建物の免震改修が可能
14.免震改修
既存住宅・建物免震改修
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