2階建て戸建て住宅クラスでの、免震と制震と耐震の比較を行います。 以下のグラフのように耐震・制震と、免震とは、全く水準が違うものです。 これは、建築基準法上での扱いが全く違うからです。 すなわち、 耐震・制震:稀に発生する地震動=震度5弱(80〜100gal程度)に対して無損傷、 極めて稀に発生する地震動=震度6弱(300〜400gal程度)以上では倒壊・崩壊の可能性 免震 :極めて稀に発生する地震動=震度6弱(300〜400gal程度)に対しても無損傷 だからです。 ⇒ 日本各地の震度6弱以上地震発生確率 震度4〜5弱※4 震度6弱※4 地動加速度:0gal 80〜100gal※1 300〜400gal程度※1
震度5弱※4 震度6弱・6強※4 地動加速度:0gal 100〜125gal※1※5 375〜500gal程度※1※5
震度5弱※4 震度6強※4 地動加速度:0gal 120〜150gal※1※5 450〜600gal程度※1※5
震度7※4 地動加速度:0gal 約2400gal※6
上記加速度(地表面から建物入力加速度)に関して、被害地震の加速度(地表面加速度)は下記の通り。 ・ 1995年阪神淡路大震災(全壊約10万棟)の最大加速度: 818gal (神戸海洋気象台観測の南北方向) ・ 2004年新潟県中越地震(全壊3175棟)の最大加速度: 2036gal (川口町観測の東西方向) ● 地震力の伝達 以下の比較での「制震」は、戸建て住宅クラスによく使われる「ダンパー型パッシブ制震」です。 耐震: 地震力が1階にそのまま入り、2階は1階の柱・壁で地震力が増幅します。 制震: 地震力が1階にそのまま入り、2階は1階の柱・壁で地震力が増幅しますが、1階の柱・壁に組み込まれた ダンパーでその増幅を抑制することを想定していますが、大手ハウスメーカーの行なった下記実大実験結果 から、戸建てクラスの「制震」では、ほとんど地震力の低減効果は期待できないということがわかりました。 つまり、地震力の低減効果では、耐震≒制震ということです。 免震: 地震力を1階下などに設けられた免震装置でカットします。 耐震≒制震に比べて圧倒的な地震力低減効果 が得られます。 ![]()
● 地震・暴風対応比較 免震・制震・耐震の、通常の建物の場合、下表のように、建築基準法の構造設計荷重(許容応力度等計算※1)としての地震力・風圧力も違います(在来木造などの仕様規定もそれに準じています)。 「免震」だけが別格の位置づけになっています。
ここで ・ 「中程度の地震動」とは、 80〜100gal程度※1で、震度4〜5弱※4 ・ 「最大級の地震動」とは、300〜400gal程度※1で、震度6強〜7(国交省 気象庁旧震度/震度6弱気象庁新震度※4) ・ 「中程度の暴風」とは、 50年に一度の暴風※1 ・ 「最大級の暴風」とは、500年に一度の暴風※1 であり、下表のようになります。 また、「耐震住宅・制震住宅」で、品確法の耐震等級1・2・3の場合でも、上記加速度に対して ・ 耐震等級1は、1.00倍※5 ( 80〜100gal=震度4〜5弱※4) ・ 耐震等級2は、1.25倍※5 (100〜125gal=震度5弱※4) ・ 耐震等級3は、1.50倍※5 (120〜150gal=震度5弱※4) であり、下表との差は生じません。
「免震」だけが別格の水準となっています。 すなわち 耐震・制震住宅は、震度4〜5弱(耐震等級3でも震度5弱)で 「損傷限界」=損傷が始まる段階に至るのに対し、 免震(IAU免震)住宅は、「最大級の地震動」=震度6強〜7※4でも 「損傷限界」に至りません。 また、「最大級の地震動」(加速度300〜400gal程度)では、 免震(IAU免震)住宅は、「損傷限界」=損傷が始まる段階にまだ至らないのに対し、 耐震・制震住宅は、これを超えた場合、倒壊・崩壊の可能性が出てきます※1。 ⇒ Q&A1 2 3 4 ※1 2007年度版 建築物の構造関係技術基準解説書/国土交通省住宅局建築指導課他監修、及び1997年度版建築物の構造規定/建 設省住宅局建築指導課他監修に基づく。 最大級の地震動/大地震動=300〜400gal、中程度の地震動/中地震動=80〜100gal となっています。 「最大級/中程度の暴風」とは、再現期間にして概ね500年/50年に相当する暴風。 地震対応に対しては、「IAU型免震住宅」「制震住宅」「耐震住宅」共に短期許容応力度内。 暴風対応に対しては、「IAU型免震建物」は材料強度内、「制震住宅」「耐震住宅」は短期許容応力度内。 「500年に一度の暴風(=最大級の暴風)」に対しても、IAU型免震建物は風で移動しないことを前提としています。 ※2 上部構造に関しては、4号建築で構造計算省略の場合を除く。 ※3 200gal で液状化しない地盤であること。400gal 程度で液状化の可能性がある場合は、必ず地盤改良等を行います。 ※4 「300〜400gal 程度で、震度6強〜7」は、上記※1の「1997年度版建築物の構造規定」参照。 気象庁震度階に加速度表示がされ ていた時期があり、「建築物の構造規定」の1997年度版まではそれによるものと考えられる。 現震度階でも、水平加速度で 約0.6 秒周期 数秒間継続の場合は、震度7を除けば合致し、震度4:25〜80gal程度、震度5弱:80〜140gal程度、震度5強:140〜 250gal程度、震度6弱:250〜450gal程度、震度6強:450〜800gal程度、震度7:800gal程度以上。 ※5 必携 住宅の品質確保の促進等に関する法律/国土交通省住宅局住宅生産課監修 参照。 ※6 IAU型免震住宅の場合は1994年ノースリッジ地震増幅波では約2400gal まで損傷限界以内、すなわち、C0=0.2以内である ことを実大実験で確認。 上部構造が C0=0.2以内(無損傷)に納まらない「免震」も世の中にありますのでご注意ください。 ⇒ Q&A5 ● 耐震等級1・2・3の耐震・制震住宅が「損傷限界」に達する地震の遭遇回数 例えば、1999年1月1日〜 2008年12月31日の10年間で、東日本地方では各県別に下記回数の、耐震等級1・2・3の耐震・制震住宅が「損傷限界」(損傷が始まる段階)に達する地震(震度4〜5弱以上)がありました。 この結果から推計しますと、震度4〜5弱以上の地震に、 今後 50年間で、1県あたり平均 278回も遭遇することにもなります。 今後200年間で、1県あたり平均1112回も遭遇することにもなります。 ⇒ Q&A6 さらに今後、より地震活動が活発化するであろう「地震活動期の日本列島」を考えますと、 200年住宅は勿論、通常の住宅でも「免震」は不可欠なものになっていくものと考えられます。 ⇒ Q&A7 【東日本地方 震度別地震回数表/1999年1月1日〜2008年12月31日/気象庁調べ】
政府中央防災会議の調査では、東海地震、東南海地震、南海地震、近畿・中部圏直下型地震、首都直下地震では、広域で震度6強が予測されていますが、 建築基準法同等(品確法の耐震等級1)で建てられた木造の耐震構造の住宅では、震度6強で倒壊の危険性があります。 (財)建材試験センターが実施した実大木造住宅振動実験において、建築基準法同等(品確法の耐震等級1)で建てられた耐震構造の住宅は、震度6強で倒壊しました。 (財)建材試験センター中央試験所内に設置している「木質構造建築物の振動試験研究会」(委員長 坂本 功慶応大学教授)が、平成16年から平成18年度にかけて実大木造住宅振動実験を実施した結果、建築基準法同等の、品確法の耐震等級1で建てられた耐震住宅は、阪神淡路大震災で神戸海洋気象台で観測されました震度6強の地震波で倒壊しました。 また耐震等級2でも躯体に相当な被害が出ました。 同実験の報告論文=2005年日本建築学会大会発表論文(講演番号22003)にも 「標準的な仕様で、壁量が建築基準法や品確法の等級1を満たした建物であっても、(中略)兵庫県南部地震のような大地震時に倒壊する危険性を有していることがわかった。」 と記載されています。 → 木造住宅実験、耐震基準内でも倒壊? 産学研究会(朝日新聞 2006年11月24日) → 2005年日本建築学会大会学術講演梗概集 講演番号22001、22002、22003〜22013 また、1回の加振実験で倒壊を免れた場合でも、2回目の加振実験で倒壊する場合が多々あります。 → 2回目加振実験映像(評点1.5≒耐震等級3※) / 在来木造住宅震動台実験の概要 / (防災科学技術研究所) 東海地震クラスの1923年9月の関東大震災M7.9では、(阪神大震災クラスの)M7以上の余震が2日間で5回連続して起こりました(翌年1月まで入れると6回)。 このように余震まで考慮に入れて、数回の加振実験をして耐震性を確認しないと、本当の意味で安全とは言えません。 ※「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針(案)」/国土交通省 制震構造発売の大手ハウスメーカー2社(M社、D社)が実際の建物を使用した振動実験(実大実験)を行っています。 その実大実験結果から、制震構造は、耐震構造に比べてほとんど加速度(地震力)の低減効果がみられないという結果が得られました。 そのことは下記の日本建築学会論文に発表されています。 ・M社の実大実験 M社は、2棟の木質パネル構法建物(A棟:2階建て延床99.4u/B棟:2階建て延床106u)に阪神淡路大震災で最大加速度観測波の神戸海洋気象台観測地震波等を加震して、実大実験を行なっています。 この実験結果から、「加速度については、ほとんど変化が見られなかった」(A棟:下記学会論文講演番号22035)、「全体としては、加速度に与える影響は少ない」(B棟:下記学会論文講演番号22037)ということがわかり、耐震に対して制震はほとんど加速度(地震力)の低減効果が無いということが示されました。 ・D社の実大実験 D社は、軽量鉄骨住宅の完全同仕様の耐震棟と制震棟(両棟共に2階建て延床92.7u)とを、世界最大の震動台をもつE-ディフェンス(防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター)の震動台上に建てて、阪神淡路大震災で最大加速度観測波の神戸海洋気象台観測地震波等を加震して、「耐震」と「制震」の厳密な比較実験を行っています。 その結果、「X方向の応答加速度は76回目(の加振)※までは耐震棟と制震棟で目立った差はない」、「Y方向についてはそれほど目立った特徴は無い」(下記学会論文講演番号21285)となっています。 相当な回数の加振(76回以上※の地震波による振動実験)をしない限り、耐震と制震とでは応答加速度に目立った差が出ないという結果になっています。 ※この76回という回数は、1回の地震間隔を100年と考えると7600年間、10年と考えたとしても760年となり、一般的な(30〜50年の寿命の)住宅は勿論のこと、200年住宅でも、地震力低減において制震は全く効果が無いということになります。 詳細は、 M社の論文は日本建築学会大会学術講演梗概集2005年9月講演番号22035,22036〜22037 D社の論文は日本建築学会大会学術講演梗概集2007年8月講演番号21284〜21285 に掲載されています。 地震の震度ごとの、 IAU型免震と制震と耐震の比較を行います。 比較条件は、下記の比較条件をご参照下さい。 ここでの「制震」は、戸建て住宅クラスによく使われる「ダンパー型パッシブ制震」です。 なお、上記のように、大手ハウスメーカーの行なった実大実験によれば、「制震」は、「耐震」に比べてほとんど加速度の低減効果がみられないという結果となっています。 実際には、「制震」と「耐震」との差は下記ほども無いと思われます。 ● 1階同士の比較 ⇒ 建物全体としての損傷・倒壊の可能性については下記「2階同士の比較」参照 IAU型免震と制震と耐震の、1階同士の震度と加速度の比較を行います。 下表のように、制震は、耐震と全く同じです。 IAU型免震は制震に比べても格段の効果を持ちます。 gal
:加速度単位で、重力加速度1Gは、981galです。
強震動時の応答値比較は以下のようになります。 「耐震」
= 「制震」 = 地震入力 >> 「IAU型免震」 ● 2階同士の比較 (建物全体としての損傷・倒壊の可能性も示しています) IAU型免震と制震と耐震の、2階同士の震度と加速度の比較を行います。 下記グラフのように、パネル構法、2×4、在来木造新築(固有周期 0.15秒)の場合ですと、制震は耐震に比べ顕著な効果があるとは言えません。 免震は制震に比べても格段の効果を持ちます。 gal
:加速度単位で、重力加速度1Gは、981galです。
※ 2007年度版 建築物の構造関係技術基準解説書/国土交通省住宅局建築指導課他監修、1997年度版建築物の構造規定 /建設省住宅局建築指導課他監修、及び「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく。 ★耐震等級1では、建物の応答加速度が、 200gal≒0.2G(標準せん断力係数C0=0.2以内)を超えると、損傷の可能性。 1000gal≒1.0G(標準せん断力係数C0=1.0以内)を超えると、倒壊の可能性。 ★耐震等級2では、建物の応答加速度が、 250gal≒0.25G(標準せん断力係数C0=0.25以内)を超えると、損傷の可能性。 1250gal≒1.25G(標準せん断力係数C0=1.25以内)を超えると、倒壊の可能性。 ★耐震等級3では、建物の応答加速度が、 300gal≒0.3G(標準せん断力係数C0=0.3以内)を超えると、損傷の可能性。 1500gal≒1.5G(標準せん断力係数C0=1.5以内)を超えると、倒壊の可能性。 強震動時の応答値比較は以下のようになります。 「耐震」
≒ 「制震」 > 地震入力 >> 「IAU型免震」 【比較条件】 制震は、戸建て住宅クラスで一般的に使われるダンパー型パッシブ制震を想定しています。 免震の加速度は、実大実験での値で、震度はその加速度値(水平2方向)から気象庁計測震度計算を行い、気象庁の震度(水平2方向)を算出しました。 耐震・制震は、数値解析結果で、解析モデルとして、建物の固有周期を耐震・制震ともに 0.15秒とし、減衰定数を耐震の場合は 5% 制震の場合は 15%とし、1質点モデルで時刻歴応答解析での加速度(2階建て建物での2階相当)を水平2方向でまず算出し、気象庁計測震度計算を行い、気象庁の震度(水平2方向)を算出しました。 地震波は、以下の通りです(地震波は、IAU型免震との比較条件を同一にするためにIAU型免震の実大実験で使用したものです)。 ・1994年ノースリッジ地震M6.7での、タルザナ観測波の増幅波(EW:114kine NS:1324gal EW:2376gal UD:1435gal NSEW合成:2377gal 3成分合成:2450gal(2.5G)、水平2方向で震度7)から、EW方向を基準にし、EW:5kine・7.5kine・10kine・15kine・20kine・25kine・30kine・35kine・40kine・(以降10kineごとに作成、75kineのみ追加)・・100kine・110kine・114kineまでの波を、EW方向・NS方向共に作成し、応答加速度および震度を求めて比較を行いました( IAU型免震のみ、EW:114kineの実大実験値を使用)。 さらに、過去に強震動を記録した地震波による、2階建て住宅クラスでの、「IAU型免震」と「制震」と「耐震」の2階同士の震度比較を行います。 なお、ここでの「制震」は、戸建て住宅クラスによく使われる「ダンパー型パッシブ制震」です。 なお、戸建て住宅クラスでは、上記のように、大手ハウスメーカーの行なった実大実験によれば、「制震」は、「耐震」に比べてほとんど加速度の低減効果がみられないという結果となっています。 実際には、「制震」と「耐震」との差は下記ほども無いと思われます。 「制震」は、戸建て住宅クラスによく使われるダンパー型パッシブ制震を想定し、解析モデルとして、建物の固有周期を 0.15秒とし、減衰定数を耐震の場合は 5% 制震の場合は 15%として、1質点モデルで時刻歴応答解析での加速度(2階建て建物での2階相当)を水平2方向で算出して気象庁計測震度計算を行い、 2階建て建物の2階での計測震度を計算し気象庁の震度を算出しました。 免震の震度は、水平2方向加振での実大実験の値から算出しました。 地震波は、以下の通りです(地震波は、比較条件を同一にするためにIAU型免震の実大実験で使用したものです)。 ・1940年インペリアル・バレー地震M7.1での、エルセントロ観測波(NS:50kine基準化 NS;511gal EW:352gal NSEW合成:525gal)、 ・1952年カーンカウンティ地震M7.8での、タフト観測波(NS:50kine基準化 NS;435gal EW:476gal NSEW合成:645gal)、 ・1968年十勝沖地震M7.9での、八戸港湾観測波(NS:50kine基準化 NS:348gal EW:287gal NSEW合成:451gal)、 ・1995年阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)M7.3での、神戸海洋気象台観測波増幅波(NS;100kine NS;823gal EW:604gal NSEW合成:902gal)、 ・東海地震想定波M8.0での、静岡市想定波(NS:;71kine NS:824gal EW:925gal NSEW合成:1042gal)、 ・1994年ノースリッジ地震M6.7での、タルザナ観測波増幅波(EW:114kine NS:1324gal EW:2376gal NSEW合成:2377gal)、 ・2004年新潟県中越地震最大余震M6.5での、観測史上最大水平加速度を記録しました川口観測波のさらに増幅波(EW:76kine EW;2205gal NS:1755gal NSEW合成:2804gal)、 結果は以下表の通りです。 「IAU型免震」では、いずれの地震波でも震度4になりますが、 「制震」と「耐震」では、ほとんど差が出ない結果となりました(2階の気象庁震度で、「耐震」が若干大きくなる程度)。 → 耐震と制震との震度比較
これ以上の地震波では全て倒壊の可能性があります。 以下に、1995年阪神淡路大震災の神戸海洋気象台観測波増幅波(NS;100kine NS;823gal EW:604gal NSEW合成:902gal)での、「耐震」と「制震」と「IAU型免震」の応答加速度も記載します。 この地震波※では、2階の応答加速度を、 「IAU型免震」は「耐震」に対して 1/14、 「制震」に対しても 1/13 にしてくれますが、 「制震」は「耐震」に対して 1/1.1 にしかなりません。
戸建て住宅クラスでの「免震」 ・「制震」の比較を、機構上の相違と応答スペクトル※1によって説明します。 なお、ここでの「制震」は、戸建て住宅クラスによく使われる「ダンパー型パッシブ制震」です。 なお、戸建て住宅クラスでは、大手ハウスメーカーの行なった実大実験によれば、「制震」は、「耐震」に比べてほとんど加速度の低減効果がみられないという結果となっています。 実際には、「制震」と「耐震」との差は下記ほども無いと思われます。 ・ 「免震」は、固有周期を伸ばす装置により、固有周期を伸ばして免震させ=地震入力よりも低減させ(下記「加速度応答スペクトル」参照※1)、共振域での共振による増幅を抑えるためにダンパー(下記「加速度応答スペクトル※1」の減衰定数10〜20%参照)を使用しています。 地震入力よりも低減させるという免震効果は、固有周期を伸ばす事によって得られます※2。 免震※2 = 固有周期を伸ばす装置 + ダンパー → 地震入力以下にする効果有り 制震※3 = ダンパー → 地震入力以下にする効果無し ・ 戸建て住宅クラスに一般的な「ダンパー型パッシブ制震」は、固有周期を伸ばす装置をもたず、ダンパーのみの使用で(下記「加速度応答スペクトル」の「制震住宅の領域」の減衰定数10〜20%参照※4)、1階の柱壁等の構造によって2階へ伝わる加速度が増幅する現象=共振現象を抑え込むもので、そのために、1階には効果がなく、2階における効果で、またその2階においても、免震のような、地震入力(地面)よりも低減させるという効果は持ちえません。 ※1 グラフの横軸が建物または免震システムの固有周期、グラフの縦軸が応答加速度(≒2階建ての場合の2階床面の加速 度)で、建物の減衰定数(5%〜20%)ごとの固有周期と応答加速度との関係を表しています。 一般の建物、固有周期を もつ免震建物の応答加速度を調べるのによく使われるグラフです。 ※2 IAU型免震は、非線形の装置のためこの理論では解析できません。 ※3 戸建て住宅クラスの「ダンパー型パッシブ制震」 ※4 阪神淡路大震災最大加速度観測波である神戸海洋気象台観測波は、断層型地震で且つ第1種地盤での比較的短周期 の地震波であり、海溝型地震で且つ第2種地盤等の地盤が悪い敷地等では、固有周期が短い建物での「制震」構造の効 果はもっとなくなります。 ![]() 戸建て住宅クラスでの免震 ・ 制震 ・ 耐震の比較を応答スペクトルによって説明します。 なお、ここでの「制震」は、戸建て住宅クラスによく使われる「ダンパー型パッシブ制震」です。 なお、戸建て住宅クラスでは、大手ハウスメーカーの行なった実大実験によれば、「制震」は、「耐震」に比べてほとんど加速度の低減効果がみられないという結果となっています。 実際には、「制震」と「耐震」との差は下記ほども無いと思われます。 下記のグラフは、 (1) 阪神淡路大震災最大加速度(818gal)観測の神戸海洋気象台観測波による応答スペクトル (2) 1968年十勝沖地震の八戸港湾観測波(75kine基準化 494gal)による応答スペクトル のグラフです※。 グラフの横軸が建物または免震システムの固有周期、グラフの縦軸が応答加速度(≒2階建ての場合の2階床面の加速度)で、建物の減衰定数(0%〜20%)ごとの固有周期と応答加速度との関係を表しています。 一般の建物、固有周期をもつ免震建物の応答加速度を調べるのによく使われるグラフです。 ※ ただし、IAU型免震は、この共振系(線形)のモデルでは解析できません。 ◇減衰定数について 減衰定数0%は、減衰を全く持たない場合、耐震建物は5〜10%程度、10%を超える場合は、制震または免震の場合です。 また免震の場合は大きすぎると地震後建物が元の位置に戻らなくなる問題があります。 ◇固有周期について 戸建て住宅クラスの在来木造では0.1秒〜0.2秒程度です(古い建物ほど長くなります。ツーバイフォーまた木質プレハブ(パネル)構法等は硬くて0.1秒程度)。 また大地震時は若干伸びます。 制震は、建物の剛性は変えずにダンパー等の減衰材によって減衰定数を大きくするもので、そのため建物の固有周期はそのままです(厳密には減衰材によって若干は伸びます)。 在来木造の制震では0.1秒〜0.2秒程度です(ツーバイフォーまたパネル構法等は0.1秒程度)。 免震は、少なくとも1秒は超えます(一般的には2秒以上です)。 以下、「耐震」「制震」「免震」の比較をします。 ![]() ![]() ●耐震の場合 耐震の場合の減衰定数を5%で考えますと、 (1) 阪神淡路大震災最大加速度観測の神戸海洋気象台観測波(818gal)の場合 固有周期を0.1秒でみますと、応答加速度が 924galで、地震入力最大加速度 818galに対して 1.13倍増幅がみられます。 固有周期を0.2秒でみますと、応答加速度が 1062galで、 1.30倍増幅がみられます。 固有周期を0.3秒でみますと、応答加速度が 1869galで、 2.28倍増幅がみられます。 固有周期を0.4秒でみますと、応答加速度が 2252galで、 2.75倍増幅がみられます。 (2) 1968年十勝沖地震八戸港湾観測波(75kine基準化 494gal)の場合 固有周期を0.1秒でみますと、応答加速度が 536galで、地震入力最大加速度 494galに対して 1.09倍増幅がみられます。 固有周期を0.2秒でみますと、応答加速度が 1242galで、 2.51倍増幅がみられます。 固有周期を0.3秒でみますと、応答加速度が 1372galで、 2.78倍増幅がみられます。 固有周期を0.4秒でみますと、応答加速度が 1284galで、 2.60倍増幅がみられます。 ●制震の場合 制震の場合の減衰定数を15%で考えますと、 (1) 阪神淡路大震災最大加速度観測の神戸海洋気象台観測波(818gal)の場合 固有周期を0.1秒でみますと、応答加速度が 870galで、地震入力最大加速度 818galに対して 1.06倍増幅がみられます。 固有周期を0.2秒でみますと、応答加速度が 962galで、 1.18倍増幅がみられます。 固有周期を0.3秒でみますと、応答加速度が 1364galで、 1.67倍増幅がみられます。 固有周期を0.4秒でみますと、応答加速度が 1323galで、 1.62倍増幅がみられます。 また、固有周期を1.14秒を超えない限り、地震入力加速度よりも低減効果はありません。 (2) 1968年十勝沖地震八戸港湾観測波(75kine基準化 494gal)の場合 固有周期を0.1秒でみますと、応答加速度が 518galで、地震入力最大加速度 494galに対して 1.05倍増幅がみられます。 固有周期を0.2秒でみますと、応答加速度が 954galで、 1.93倍増幅がみられます。 固有周期を0.3秒でみますと、応答加速度が 989galで、 2.00倍増幅がみられます。 固有周期を0.4秒でみますと、応答加速度が 809galで、 1.64倍増幅がみられます。 また、固有周期を1.10秒を超えない限り、地震入力加速度よりも低減効果はありません。 ●耐震と制震の比較 (1) 阪神淡路大震災最大加速度観測の神戸海洋気象台観測波(818gal)の場合 耐震に対して制震は応答加速度を 固有周期0.1秒で、0.94倍 固有周期0.2秒で、0.91倍 固有周期0.3秒で、0.73倍 固有周期0.4秒で、0.59倍にします。 固有周期0.1秒の、耐震と制震との比較では、0.94倍、応答加速度が924galと870galでさほど変わらない結果となります。具体的に言いますと、固有周期0.1秒程度の2×4構法・パネル構法等の固い建物ですと、制震効果はあまりみられないということになります。 固有周期0.2秒の建物でも0.91倍程度です。 制震効果が得られるためには、固有周期が0.1秒〜0.2秒ではなく、もう少し長くないと意味がないということです。 つまり、固有周期が0.1秒〜0.2秒の在来木造では制震の効果はあまり期待できないということになります。 (2) 1968年十勝沖地震八戸港湾観測波(75kine基準化 494gal)の場合 耐震に対して制震は応答加速度を 固有周期0.1秒で、0.97倍 固有周期0.2秒で、0.77倍 固有周期0.3秒で、0.72倍 固有周期0.4秒で、0.63倍にします。 固有周期0.1秒の、耐震と制震との比較では、0.97倍、応答加速度が536galと518galでさほど変わらない結果となります。具体的に言いますと、固有周期0.1秒程度の2×4構法・パネル構法等の固い建物ですと、制震効果はあまりみられないということになります。 固有周期0.2秒の建物でも0.77倍程度です。 制震効果が得られるためには、固有周期が0.1秒〜0.2秒ではなく、もう少し長くないと意味がないということです。 つまり、固有周期が0.1秒〜0.2秒の在来木造では制震の効果はあまり期待できないということになります。 (3) 他の地震波による耐震に対する制震の応答加速度低減効果 下記のグラフは、以下のような過去の代表的な地震波の応答スペクトルの計算による、耐震に対する制震の応答加速度低減率を表したものです。 なお、「耐震」は減衰定数 5%、「制震」は減衰定数15%で、上記(1)(2)と同様の条件です。 1968年十勝沖地震での、八戸港湾観測波(NS:75kine基準化 494gal)、 1995年阪神淡路大震災(1995年兵庫県南部地震M7.3)での、神戸海洋気象台観測波(NS:91kine 818gal)、葺合(NS:123kine 802gal)、東神戸大橋(NS:89kine 281gal)、 2003年十勝沖地震 本震での、浦河町(EW:42kine 349gal)、最大余震での浦河町(EW:43kine 493gal)、 2004年新潟県中越地震での、小千谷(EW:125kine 1308gal)、 1940年インペリアル・バレー地震での、エルセントロ(NS:75kine基準化 766gal)、 1994年ノースリッジ地震での、タルザナ(EW:増幅波114kine 2376gal) これらの地震波から、固有周期が0.1秒〜0.2秒の建物では、耐震の応答加速度に対して0.9倍〜0.8倍程度であり、制震による応答加速度低減効果はあまり期待できないということです。 ![]() 参考として、同上の地震波による、建物の固有周期を0.15秒での2階建て住宅での「制震」と「耐震」の2階同士の震度比較を行います。 建物の減衰定数を耐震:5% 制震:15%として、1質点モデルで時刻歴応答解析での加速度(2階建て建物での2階相当)を算出して気象庁計測震度計算を行い、 2階建て建物の2階での水平2方向の計測震度を計算し気象庁の震度階を算出しました。 結果は以下の通りです。 計測震度に差があるものもありますが、これらの地震波では、気象庁震度階では「制震」と「耐震」での震度差が出ない結果となっています。
これ以上の地震波では全て倒壊の可能性があります。 (4) 正弦波による耐震に対する制震の応答加速度低減効果 下記のグラフは、周期0.3秒〜1秒の正弦波の応答スペクトルからの、耐震に対する制震の応答加速度低減率を表したものです。 なお、「耐震」は減衰定数 5%、「制震」は減衰定数15%で、上記(1)(2)(3)と同様の条件です。 正弦波の周期が長いほど、短い固有周期の「制震」は効果を得られず、これらの正弦波の検討からも、固有周期が0.1秒〜0.2秒の建物では、制震による応答加速度低減効果はあまり期待できないということ、また建物の固有周期よりも0.1秒〜0.2秒以上長い周期の地震に対しても期待できないということがわかりました。 ![]() 以上のことから、制震は短い固有周期の建物には効果があまり期待できないということです。 制震は固有周期の長い建物には有効ですが(本来、制震は固有周期の長い高層建物用でした)、固有周期の短い低層建物・パネル構法・2×4構法等の建物(特に新築建物)にはあまり有効ではありません(老朽建物は固有周期が伸びますので制震は有効な場合があります)。 そのような建物には、制震の採用よりも、固有周期をより短くする方が、つまりより固くする方が、応答加速度を低減するには効果があります。 ●免震の場合※ 免震の場合の減衰定数5%で考えますと、 (1) 阪神淡路大震災最大加速度観測の神戸海洋気象台観測波(818gal)の場合 固有周期を2秒でみますと、応答加速度が 379galで、地震入力最大加速度 818galに対して 0.46倍にします。 固有周期を3秒でみますと、応答加速度が 167galで、 1/5にします。 固有周期を4秒でみますと、応答加速度が 82galで、1/10にします。 (2) 1968年十勝沖地震八戸港湾観測波(75kine基準化 494gal)の場合 固有周期を2秒でみますと、応答加速度が 398galで、地震入力最大加速度 494galに対して 0.81倍にします。 固有周期を3秒でみますと、応答加速度が 278galで、0.56倍にします。 固有周期を4秒でみますと、応答加速度が 114galで、0.23倍にします。 ※ ただし、IAU型免震は、この共振系(線形)のモデルでは解析できません。 ●耐震と制震と免震の比較 以上のことから、 耐震も制震も、1階の応答加速度は、地震入力加速度とほぼ同じで、2階の応答加速度は、地震入力加速度よりも上回ります。 免震だけが、1階2階も地震入力加速度に対して低減効果を持ちます。 → 免震・制震・耐震の比較 → 免震・制震・耐震の比較 T → 免震・制震・耐震の比較 Q&A → 免震・制震・耐震の比較【要約版】[PDF形式] Copyright: (C) 2005 IAU CO.,LTD. All rights reserved. |
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